個人M&Aとは個人による事業や企業の買収!メリットと注意点を解説
個人M&Aとは、個人が事業や企業を買収すること、あるいは個人が事業・企業を売却することを指します。具体的にはどのように売買を進めていくのか、また、得られるメリットや実施の際の注意点について見ていきましょう。
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個人M&Aとは個人による企業・事業の買収
M&Aというと、数百億円~数千億円の巨額の資金が動くイメージを持つかもしれません。
しかし、すべてのM&Aが莫大な資金を必要とするのではありません。むしろ中小企業同士のスモールM&Aや「個人M&A」は年々増加傾向にあります。個人事業の売却、あるいは個人が事業・企業を買収するには、数百万円~数千万円で実施できるものも少なくありません。
通常の個人M&Aは、個人による事業・企業の売却あるいは買収を指しますが、この記事では買収側からの観点で解説していきます。
マッチングサイトで簡単に買収可能
個人M&Aは、難しいことではありません。個人M&A専用のマッチングサイトがあり、簡単に買収可能な企業や事業をチェックし、M&Aを実施することが可能です。
またM&Aの仲介専門会社に依頼することでも、個人M&Aを進めていくことができます。アドバイスを受けながら対象企業の選定から買収まで行えるので、M&Aが初めての方にも利用しやすいでしょう。
個人でも買収可能な価格帯の案件も多い
個人M&A専用のマッチングサイトでは、譲渡価額が1,000万円以下の案件も多く掲載されています。価格が比較的低いので、個人が事業を買収する際に用いられることが一般的です。
また、譲渡価額が1,000万円~数十億円の案件を「スモールM&A」と呼びます。こちらは個人が買収することもあれば、企業の買収対象となることもあります。
個人M&Aの4つのメリット
M&Aを手掛ける個人は少なくありません。また、事業立ち上げを検討している個人が、あえて一からの立ち上げではなくM&Aを選ぶこともあります。
個人でM&Aを実施するメリットとしては、次の4つを挙げられるでしょう。
- 手間をかけずに起業できる
- 販路開拓などの必要がない
- 企業買収なら許認可の申請を省略できる
- 独自の視点を取り入れた経営ができる
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1.手間をかけずに起業できる
企業を立ち上げる際には、さまざまな手続きが必要です。登記も当然ですが、口座開設や御フィスのレンタル、電話やファックスの用意、人の採用など・・・複雑な手続きや手間がかかることを思うと、起業をしたいという気持ちがあってもなかなか一歩踏み出せない……という方も多いのではないでしょうか。
しかし、個人M&Aであればすでに法人として完成した企業を買収するので、一から起業する手間がかかりません。手続きも簡単で、買収後すぐに法人として活用できます。
2.販路開拓などの必要がない
「起業さえすれば安定した利益が得られる」というわけではありません。起業も手間がかかりますが、実際に大変なのは起業した後です。ビジネスモデルを構築したり販路を開拓したりと、安定した利益を得られるまでには長い道のりを歩まなくてはいけません。
しかし、個人M&Aであれば、すでにビジネスモデルが構築されています。取引先もあり、販路もある形で企業を入手することができるのです。案件によっては、安定した利益が見込めるものもあります。
3.企業買収なら許認可の申請を省略できる
例えば飲食業を始める場合には、保健所から飲食店営業許可を受けたり、消防署に防火対象物使用開始届を届け出たりすることが必要です。また営業が深夜に及ぶ場合には、深夜酒類提供飲食店営業開始届などの提出も求められるでしょう。いずれも許可を受けるまでに時間がかかるだけでなく、提出書類の準備に手間取ることもあります。
しかし企業全体を買収する場合であれば、許認可を新たに届け出る必要はありません。買収企業の許認可を引き継ぐことができるため、すぐに営業を開始することができます。
ただし、個人に紐づく形で許認可を受けているものはその人がいなくなる場合には効力がなくなるため、注意が必要です。
4.独自の視点を取り入れた経営ができる
株式を買い取り、大株主として企業経営を見守ることもできます。しかし、大株主はあくまでも株主であり経営者とは限らないため、思うような経営を行うことは難しいでしょう。
個人M&Aであれば企業全体を買収するので、経営者として思う存分経営手腕を振るうことができます。手間をかけずに企業経営を始めたい方にも、個人M&Aは選択肢のひとつになるでしょう。
個人M&Aの注意点
手間をかけずに事業を始められる個人M&Aは、起業を検討しているときに良い選択肢のひとつとなるでしょう。しかし、個人M&Aが常に良い結果を生み出すとは限りません。買収先を選ぶ際に慎重に吟味をしないと、思わぬトラブルを招くことがあります。
特に次の3点については、買収する前に十分に注意をするようにしましょう。
- 買収後にトラブルが発覚することもある
- 思ったような経営ができない可能性がある
- 従業員と折り合えないことがある
買収後にトラブルが発覚することもある
買収する際には財務、法務ともに精査が必要ですが、それでも事前には見抜けないトラブルが潜んでいることがあります。例えば買収した後に従業員が退職し、退職金の支払いで運営に使う資金が不足してしまうなどのケースも考えらますし、裁判を抱えていて、近い将来に多額の賠償金を支払うケースなどもあります。
このようなトラブルを回避するためには、買収前に対象企業を詳しく調査することが不可欠です。マッチングサイトでは自力で調査をしなくてはいけないため、トラブルの種を見つけることは難しいかもしれません。
専門家に調査を依頼することや、契約にトラブルが発覚した場合の責任についての条項を加えることで対応できることもあります。ぜひ信頼できるM&A仲介会社に相談し、買収後のトラブル対策も行っておきましょう。
思ったような経営ができない可能性がある
経営に対する明確なビジョンがあっても、従業員が思うように動いてくれないときは実現が難しくなります。また、従業員のスキルや能力が思ったよりも低く、抜本的な経営改革を実施しても収益性が向上しないこともあるでしょう。
買収前に従業員と面談するなどは難しいかもしれませんが、キーマン等へのヒアリングなど、出来る限りの対策は出来るとベストです。
従業員と折り合えないことがある
買収先の従業員が経営に不満を持ち、折り合えないこともあります。とりわけ現在の経営状況に問題がなく、単にオーナーが高齢などの理由により会社売却を行った場合には「前のほうが良かったのに」と従業員が不満を抱く可能性があるでしょう。
時間をかけて解決していくしかありませんが、最初のうちは経営効率が悪化し、思ったよりも利益が得られない状態が続くかもしれません。このようなバッドシナリオも描きつつ、できれば経営効率の悪化も見越して、運転資金を多めに用意してから買収を進めていくほうがよいでしょう。
会社売却・事業売却でお悩みの方はぜひご相談ください
これまで見たように、会社の規模、法人・個人に限らず買収を検討する人が増えてきています。逆にいうと、会社を売却する際には、以前よりも広い選択肢と可能性が拡がっている状況にあるといえます。会社の規模が小さくても、経営状態が芳しくなくても、個人M&Aも含めてM&Aが成立する可能性があります。売却でお悩みの際は、会社の規模に関わらずM&A仲介会社に相談してみてはいかがでしょうか。
弊社ではさまざまな規模の事業売却を手掛けております。相談料不要、着手金不要、また中間金も不要で承っております。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。