『リストラクチャリング』とは経営の抜本的改革!具体的な手順やその効果について解説

リストラクチャリング(restructuring)とは抜本的な改革のことで、企業で用いるときは経営や事業構造などを根本的に変革することを指します。具体的にはどのように進めていくのか、また、どのような効果を期待できるのか見ていきましょう。

リストラクチャリングとは抜本的改革のこと

「リストラクチャリング」とは、構築し直すことを表す英語です。政治や教育、家庭などさまざまな組織を構築し直すことを指しますが、企業経営に限定して用いることもあります。

企業経営におけるリストラクチャリングは、業績不振や経営効率の悪化などの好ましくない状況を打破する目的で行うことが一般的です。特定の部門に手を加えるのではなく、企業全体の規模で抜本的な改革を行います。

人員整理だけがリストラではない

リストラクチャリングを略して「リストラ」と呼ぶことがあります。リストラと聞くと人員削減や解雇のイメージが浮かぶのではないでしょうか。しかし本来のリストラは企業の抜本的な再構築のことなので、必ずしも人員を減らして実現するわけではありません。企業の再構築につながることであれば、大規模な人員増加や他企業との合併などのさまざまな戦略がリストラクチャリングとなります。

リエンジニアリングとは何が違う?

リストラクチャリングと同じく企業変革を示す言葉として「リエンジニアリング」があります。構造全体を再構築するリストラクチャリングとは異なり、リエンジニアリングは業務のプロセスの見直しを指すことが一般的です。例えばオフィスのIT化を図り、少ないステップで業務を遂行できるようにすることや、指示系統の見直しにより業務効率を向上することなどを指します。

 

リストラクチャリングの3つの方法

リストラクチャリングは、何に注目して会社を再構築するかによっていくつか方法があります。主な方法としては次の3つを挙げられるでしょう。

  1. アセットリストラクチャリング
  2. エクイティリストラクチャリング
  3. デットリストラクチャリング

いずれも会社の構造から抜本的に改革するという点では同じです。しかし、注目するポイントが異なるため、選択する手法も変わります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.アセットリストラクチャリング

「アセットリストラクチャリング」とは、資産の再構築です。企業が保有する資産に注目し、不要と判断したものは切り捨てる、あるいは譲渡する、また、有効活用されていないものは活用方法を見直すなどにより、経営の抜本的な改善を図ります。不要あるいは有効活用されていない資産を譲渡することで資金を獲得し、他の分野に資金投入して業務拡大を図ることも資産の再構築として有効な手段のひとつです。

2.エクイティリストラクチャリング

「エクイティリストラクチャリング」とは、株式などの資本を使って企業全体を再構築することです。例えば会社に対して債券を有する債権者が会社の株式に振り替えることで自己資本を増やすDESや、株主総会の決議によりすべての株式を取得する全部取得条項付き株式を発行することで資本構造を改善し、企業全体の経営改善を目指します。

3.デットリストラクチャリング

「デットリストラクチャリング」とは、債務を整理することで企業全体の再構築を目指すことです。例えば金融機関への返済が企業全体の資金繰りに強い影響を及ぼしているときは、金融機関と話し合って返済計画を見直すリスケジュールを行うことで状況改善が見られるかもしれません。特に負債が多く、利息の支払いが経営を大きく圧迫している企業においては、デットリストラクチャリングは有効な再構築の手段となります。

 

リストラクチャリングで得られる5つの効果

リストラクチャリングを実施することで企業の構造に変革が生まれます。構造の変革は企業の在り方に大きな影響を及ぼし、目に見える形でさまざまな変化が表れるでしょう。主な効果としては次の5つを挙げられます。

  1. キャッシュフローの改善
  2. 負債による負担の軽減
  3. 主要事業への資金・人材集中
  4. 事業売却による利益獲得
  5. 収益率の向上

1.キャッシュフローの改善

リストラクチャリングは、経営状態が思わしくないときに実施されることが少なくありません。不要な資産がないか見直し、売却して現金化して負債を減らすなどを実行することで、キャッシュフローの改善を目指すこともあります。また、資本を増資することでもキャッシュフローが改善されるケースもあるでしょう。

なお、企業の再構築により資金の流れを円滑にするためには、単に人員を削減するといった手法による再構築よりも会計・財務の専門的な知識が必要になります。専門家に依頼して、計画的にリストラクチャリングを進めることが求められるでしょう。

2.負債による負担の軽減

負債による負担が企業成長を阻んでいる可能性もあります。リストラクチャリングにより不要な資産や経営効率が良くない事業を譲渡し、獲得した利益を負債の返済に充当することで、健全な企業成長を目指すこともできるでしょう。

また、負債そのものを減らさなくても、負債による負担を軽減することは可能です。例えば金融機関に相談して返済期間を短縮すれば、利息が減り、ひいては支出を削減することにもなります。

3.主要事業への資金・人材集中

収益率が低い事業を売却し売却によって得た利益を主要事業に投入することで、収益性の高い事業をより大規模に展開していくことが可能になります。また、事業だけを売却すれば人材を主要事業に集中させることもできるでしょう。

事業売却についてはぜひ弊社にご相談ください。買い手企業の紹介から売却価格の査定、契約締結までをワンストップでサポートいたします。

4.事業売却による利益獲得

収益性が低い事業は売却することで、利益に転換することが可能です。自社から見れば問題のある事業でも、別企業の販路やノウハウと組み合わせることで多大な利益を生む事業になる可能性があります。獲得した利益を金融機関への返済に充当して負債の軽減を図ったり、収益性が高い事業や新規事業の立ち上げに投入することもできるでしょう。

5.収益率の向上

業績が思わしくない事業を切り離すことで、企業全体の収益率の向上を図ります。収益率が向上すると負債の早期完済や事業拡大につなげることができ、企業として一層飛躍することが可能です。切り離す事業を売却すればまとまった資金が入るというメリットがありますが、売却できなくても収益率の向上は実現できます。

しかし、売却できない場合は、切り離す事業の従業員について慎重に検討する必要が生じるでしょう。人員削減を実施するのか、それとも他部署や関連企業に異動させるのかという選択に迫られます。

なお、人員削減を実施する場合には退職金を支払うために一時的に会社の資産が減少する恐れがあるので注意が必要です。

 

M&Aについてご相談ください

さまざまな手法で企業の構造を変革するリストラクチャリングにより、キャッシュフローの改善や収益率の向上、負債による負担軽減などの幅広い効果を期待できます。

事業売却や会社売却などのM&Aを検討している場合は、弊社にご相談ください。お客さまの状況を丁寧に調査し、ご希望に沿う形でリストラクチャリングをご提案いたします。成功報酬型の料金体系のため、ご相談から着手金、中間金は一切不要です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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