後継者不足の問題を解決する5つの方法を解説|後継者が育たない根本的な理由とは何か

少子高齢化が進んでいることやビジネスモデルなどの変化などにより、多くの企業が後継者不足の問題に陥っています。しかし、解決法がないわけではありません。後継者が育たない根本的な理由とは何か、また、どうすれば問題を解決できるのか見ていきましょう。

後継者不足で悩む企業は2/3にものぼる

帝国データバンクの調査によれば、全国約266,000社のうち後継者不在の企業は約170,000社と、実に65.1%にも上りました。特に沖縄県の後継者不在は深刻で、8割以上の企業において次代を引き継ぐ人材が決まっていません。

一方、後継者が決まっている企業のうち約4割において、現経営者の子どもを候補としていました。子どもを後継者に指名しているのは70代、80代が多く、30歳未満の経営者においては半数以上が非同族を後継者候補としています。

建設業界とサービス業界が特に深刻

業界別に見ると、特に建設業界とサービス業界において後継者不在が深刻です。建設業の不在率は7割を超え、次世代に引き継ぐことの難しさがうかがえるでしょう。また、サービス業は7割をやや下回っていますが、業種別に見ると、飲食店や自動車類小売などの不在率が7割を超えるものも存在しています。

一方、製造業の後継者不在率は比較的低い水準です。化学工業やパルプ・紙類などの5割強の業種もあり、次世代への引き継ぎがうまく進んでいる傾向にあるといえるでしょう。

 

後継者不足に陥る理由

これほどまでに多くの企業が後継者不在、後継者不足に陥るのには、日本が抱える問題や人々の意識を変化などが影響を与えていると考えられます。特に次の4点は、企業の後継者不足を招いてきた根本的な理由といえるでしょう。

  • 少子高齢化が進んでいるから
  • 「家業」という概念が薄れているから
  • 従来のビジネスモデルが通用しないから
  • 忙しくて事業承継にまで手が回らないから

少子高齢化が進んでいるから

親の会社を子が継ぐことができるのは、子どもがいることが前提です。しかし、現在は少子高齢化社会で、会社を継がせる子どもがいない、あるいは子どもが小さく、まだ自分の意思を表現できないなどの問題があります。

また、子どもが少ないことも、後継者不足につながるといえるでしょう。多くの子どもがいるならば、その中でひとりくらいは「跡を継ぎたい」と考えるかもしれません。しかし、子どもが1人、2人と少ないときは、誰も跡を継ぎたがらない可能性も生じます。

「家業」という概念が薄れているから

かつてと比べ、「家業」という概念が薄れています。親の仕事は親の仕事、自分は自分がやりたい仕事に就くという考え方をする人も多く、親の会社を継ぐという選択肢を検討しないこともあるでしょう。また、会社という団体に所属して給料を受け取るサラリーマンも増えており、仕事というものは「継ぐ」ものではなく「就く」ものだと認識している人も少なくありません。

従来のビジネスモデルが通用しないから

経済のグローバル化が進み、中小企業の生き残りはかつて以上に困難になっています。ITを活用した仕事も多く、従来のビジネスモデルでは通用しない分野も増えてきているといえるでしょう。先行き不透明な中小企業の跡を継ぐよりも、自分で起業する、あるいは自分が納得できる企業に入社するという選択をする人も増えています。

忙しくて事業承継にまで手が回らないから

事業を承継するのには数年はかかるといわれています。細かな点まで仕事を覚え、取引先から信用を獲得するには、さらに長い年月がかかるでしょう。

事業が忙しく、次世代に承継することにまで手が回らない経営者も少なくありません。ようやく軌道に乗り、事業承継を考える頃にはすでに子どもは他企業に就職していて後継者がいないというケースもあるでしょう。

 

後継者不足の問題を解決する5つの方法

事業を継ぐべき子どもがいない場合、もしくは子どもが後継者になることを拒否する場合であっても、次世代に事業を引き継ぐことを諦める必要はありません。子ども以外から後継者として適任な人材を見つけ、事業の舵を渡すことは可能です。後継者不足でお悩みの場合は、次の5つの方法を検討してみましょう。

  1. 従業員を後継者として育てる
  2. 親族内で後継者を育てる
  3. M&Aを実施する
  4. 後継者マッチングバンクに登録する
  5. 廃業する

1.従業員を後継者として育てる

優秀な従業員がいるのであれば、後継者として育てていくことができます。外部から後継者を招く場合とは異なり、後継者候補がすでに仕事の内容を知っていること、また、優秀さもよく分かっていることがメリットといえるでしょう。

後継者候補が営業などを担当していた場合であれば、取引先との顔つなぎもすでに完了した状態です。側近として身近に置き、仕事を数年一緒に行うことで、さらに経営手腕も獲得できるでしょう。

2.親族内で後継者を育てる

親族に仕事を引き継ぎたい場合には、後継者候補を定めてできる限り早く社員として働かせるようにします。いきなり経営者として入社するのは、後継者候補にとっても荷が重いだけでなく、経営のノウハウを知らずに売上を落としたり、社員たちから反発を招いたりするリスクもあるでしょう。

少なくとも数年一社員として働くことで、仕事を覚え、従業員や取引先とも親しくなることができます。ただし、一緒に仕事をして経営者に不向きであることが判明したときは、別の後継者候補も検討することができるかもしれません。

3.M&Aを実施する

後継者として引き継げる従業員や親族がいない場合、あるいは候補者はいるものの、引き継ぎを拒否している場合は、M&Aを検討することができるでしょう。M&Aとは「合併と買収」のことで、買収を希望している企業に、会社を買い取ってもらうことです。

M&Aには、従業員を含めて会社を丸ごと買い取ってもらうケースや別の企業と資本提携するケースなどさまざまな選択肢があります。M&A仲介業者に依頼すれば、相手企業の紹介から契約まで任せることができるので、M&Aの経験がなくてもスムーズに事業の引き継ぎを行えるでしょう。

4.後継者マッチングバンクに登録する

後継者を探している企業と後継者になりたい人をマッチングする「後継者マッチングバンク(事業承継・引継ぎ支援センター)」に登録することも検討できます。国が運営している団体で安心して申し込めるという点はメリットといえるでしょう。都道府県ごとに相談窓口が設置されていますので、まずは一度相談してみてはいかがでしょうか。

5.廃業する

業績が思わしくなく、しかも今後好転することが望めないときなどは、廃業も検討できるかもしれません。しかし、廃業してしまうと、経営者には一切収益が入らないという点に注意が必要です。赤字企業で継続すればするほど赤字が増えるというわけではない限り、M&Aなどを活用して経済的にもプラスになる方法で事業を手放すようにしましょう。

 

会社売却・事業売却など、M&Aをお考えの際にはぜひご相談ください

さまざまな理由で後継者不足に悩む方は少なくありません。また、親族や従業員の中にも後継者の候補になる人材が見当たらないというケースもあるでしょう。

後継者が決まらないときはM&Aが良い解決になることもあります。M&Aについて、ぜひ弊社にご相談ください。どのような解決法が最適なのかご一緒に検討し、ご事情やご希望に合わせた解決法をご提案させていただきます。

 

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