非上場株式の売却方法は?具体的な手順と売却する際の注意点を解説します

上場株式のように市場での取引ができない「非上場株式」も、手順を踏めば売却することは可能です。買収先を探し、会社に譲渡承認請求を行ってから名義を書き換えます。具体的な手順と、売却の際に注意すべきポイントについて見ていきましょう。

 

非上場株式の売却が難しい理由

一般的に非上場株式の売却は簡単ではありません。売ろうと思ったときに売れないだけでなく、売却そのものが成立しないこともあります。売却が困難になる主な理由として次の4つを挙げることができるでしょう。

  • 株式市場で売買されていないから
  • 買い手を見つけることが難しいから
  • 十分な時間を取れないことがあるから
  • 譲渡制限株式で自由に売却できないから

 

株式市場で売買されていないから

株式市場で上場されている株式であれば、市場が開いている時間であればいつでも取引することが可能です。株式を保有している口座がインターネットに対応している場合には、スマホやパソコンで簡単に売却手続きが完了するでしょう。

しかし、非上場株式には自由に売買できる市場がありません。売却するためには、株式を保有する各自が買い手を見つけなくてはいけないため、上場株式と比べて売却に手間も時間もかかってしまいます。

買い手を見つけることが難しいから

上場株式であれば市場で取引をすることで利益を得られるため、株式を発行している企業の関係者でなくても「取得したい」と考える投資家は多数いるでしょう。

一方、非上場株式を売却するためには、自分で買い手を見つけなくてはなりませんが、そもそも市場で売買できないので投資商品として「取得したい」と考える人は少ないという難点があります。株式を発行している企業の関係者であれば、会社における立場を強めるために買い取ってくれることがありますが、関係者の人数は限定されているので、取引が成立するとも限りません。

十分な時間を取れないことがあるから

上記の通り、非上場株式は株式市場で売買されておらずオープンなものではないため、買い手を見つけることが難しく、時間がかかります。

売却を検討する際には充分な時間をもって進めなければなりません。

特に、相続で非上場株式を引き継ぐ場合、税金を捻出するために売却をするケースがありますが、相続税は10か月以内に納めなければならず、時間的な猶予がありません。

そのため、相続の可能性がある場合、売却の可能性がある場合、には事前に準備しておく必要があります。

譲渡制限株式で自由に売却できないから

株式を売却する際に会社の承認を必要とする「譲渡制限株式」の場合は自由売却ができません。

現在、多くの非上場会社の株式が譲渡制限株式です。売却の際には株式を発行した会社の承認が必要となることが多いため、手間や時間がかかり、売却しづらさを感じることもあるでしょう。

 

非上場株式を売却する流れ

非上場株式の売却が難しいとしても、相続税の納付などの事情により、売却が必要になることもあります。次の手順で売却を進めていきましょう。

  1. 買収先を探す
  2. 会社に譲渡承認請求を行う
  3. 取引条件の交渉と名義書き換え

なお、相続により非上場株式を受け取った場合は、売却前に「遺産分割協議」が終了していなくてはなりません。株式の正当な所有者であることをすべての相続人によって認められてから、売却手続きを行っていきましょう。

1.買収先を探す

非上場株式の売却において最初にしなくてはいけないことは、買収先を探すことです。非上場株式は自由取引できる市場が存在しないので、株式を発行した会社関係の知人や会社役員などに直接相談し、買取が可能かどうか相談してみてください。

2.会社に譲渡承認請求を行う

多くの非上場株式は譲渡制限株式なので、買収先が決まったとしても会社の承認が必要です。株式を発行した会社に譲渡承認請求を行い、買い手への譲渡の承認を受けましょう。

会社に取締役会が設置されている場合は、譲渡承認は取締役会で実施します。設置されていない場合は、臨時株主総会を開催して譲渡承認を決定することが一般的です。

却下されたときは指定買受人と交渉する

会社が買い手への譲渡を承認しない場合もあります。この場合は、会社は別の買い手に株式を譲渡するようにと指定するので、株式の所有者は新たな買い手に譲渡するかしないかを決定し、会社に伝えなくてはいけません。また、会社自体が新たな買い手として指定されることもあります。

なお、会社から新たな買い手を紹介された場合は、株式所有者から譲渡承認請求を行う必要はありません。

3.取引条件の交渉と名義書き換え

会社が買い手を承認した後で、買い手との取引条件の交渉を始めていきます。具体的な価格を提示し、双方が納得できる形で取引をまとめていきましょう。

取引が成立すると、次は名義書き換えを行います。会社の株主名簿に新たな株式所有者の名前を記載することで、株式の売買に関するすべての取引は完了です。新たな株式所有者は必要に応じて株主名簿記載事項証明書の交付請求を行います。

 

非上場株式を売却する際の注意点

非上場株式は上場株式とは異なり公開市場がないため、売却する際には手間と時間がかかるという点に留意が必要です。それに加え、売却にあたってはいくつか注意すべきポイントがあります。特に次の3点に注意し、スムーズに売却を進めていきましょう。

  • 利益について確定申告をする
  • 価格が決まらないときには裁判になることも
  • M&Aでは非上場株式も扱うことができる

利益について確定申告をする

非上場株式の譲渡によって利益を得た場合は、確定申告が必要です。株式を発行した会社に売却するときは「総合課税」となり、給与所得やその他の所得と合わせて所得税や住民税が決まります。所得税率は課税対象額によって異なり、最大45%(住民税率は10%)です。一方、発行した会社以外に売却するときは「所得分離課税」となり、一律20.315%の税率が適用されます。

価格が決まらないときは裁判になることも

株式を発行した会社によって譲渡承認が行われた場合であっても、その後の交渉によっては売却価格が決まらないこともあるでしょう。売り手としてはできるだけ高額で買い取って欲しいと考えますが、会社などの買い手はできるだけ買収費用を抑えたいものです。価格の同意が得られないときは裁判所に申立て、適正な価格を決めてもらって売買を成立させることになります。

M&Aでは非上場株式も扱うことが出来る

非上場株式の売却を伴うM&Aも実施されています。「株式譲渡」と呼ばれるM&Aの手法のひとつで、株式を他の法人などに売却し、会社自体の実質的な経営権も同時に引き渡す手法です。株式譲渡においては複雑な手続きや売却先の選定などの問題も生じるので、M&Aや事業承継を専門とする外部機関に依頼することも検討してみましょう。

大量に株式を売却するときはM&Aで株式売却するのが一般的

会社の経営に影響を及ぼしかねないほど大量に株式を売却するときには、M&Aで株式売却をするのが一般的です。しかし、M&Aを行う際には売却先の会社の選定から、実務的な手続き、法的な手続きなどさまざまな複雑な過程を伴います。M&Aや事業承継を専門とする外部機関に依頼し、手続きを進めていくようにしましょう。

 

第三者への株式売却を検討の際にはご相談ください

株式を発行した会社に買取を請求する場合には、取引の金額によっては所得税と住民税を合わせて最大55%もの高税率が適用されます。しかし、第三者へ売却する場合は金額にかかわらず税率は20.315%です。誰に売却するかで税額が大きく異なるため、注意が必要といえるでしょう。

第三者への株式売却をご検討の際は、ぜひ弊社にご相談ください。納得できる形での取引を目指して、全力でサポートいたします。

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