『優先株式』とは配当や残余財産の優先権がある株式|特徴やメリットを解説

優先株式とは配当金や残余財産の分配において優先的に受け取れる株式のことです。そのほかにもどのような特徴があるのか、また、発行するメリットやデメリットについて解説します。すでに発行している株式を優先株に変更する方法についても見ていきましょう。

優先株式とは配当などの受取優先権のある株式

優先株式とは、ほかの株式にはない優先的な権利を有する株式です。どんな点で優先権を持つのかは、発行する会社によって異なります。例えば、次のような優先権を持っている株式は優先株式と分類できるでしょう。

  • 他の株式よりも多くの配当金を受け取れる
  • 会社が解散したときは、優先的に残余財産が分配される
  • 譲渡するときに適用される株価が他の株式よりも高めに設定されている

優先株式の種類

優先株式は、その性格によっていくつかの種類に分けることが可能です。主な種類について見ていきましょう。

完全参加型優先株式

完全参加型とは、本来の優先株式の権利に加えて一般的な株式の権利も両方に参加できるという意味です。つまり、優先権に従った分配に加え、通常の株式と同様の分配も受けます。優先権に加えて通常の株主としての権利も有するため、受け取れる配当や残余財産が多くなります。

非参加型優先株式

非参加型とは、本来の優先株式の権利のみに参加できるという意味です。つまり、優先権に従った分配のみ受け取れ、通常の株式と同様の分配は受けられません。優先権による分配が通常の分配よりも多いときは通常の株式よりも有利ですが、そうではない場合もあるので権利については詳しく調べてから譲渡を受ける必要があるでしょう。

制限参加型優先株式

制限参加型とは、本来の優先権に従った分配に加え、制限を受けた状態で通常の株式と同様の分配に参加できるという意味です。通常の株式と同様の権利を有しない非参加型と比べると受け取れるものが多くなることがありますが、完全参加型と比べると少なくなる可能性があります。

普通株式との違い

優先権のなどの特別な権利がなく、元々株式に与えられている権利のみを有する株式を「普通株式」といいます。優先株式は会社と何らかの関係がある場合に保有できることが一般的なため、会社と特に関係がない投資家は普通株式のみを購入することになるでしょう。

上場株式の場合、市場で購入できる株式は普通株式のみです。また、多くの企業では普通株式しか発行していないので、一般的な権利のみを有する株式を普通株式と呼び分けることもありません。

劣後株式との違い

劣後株式とは、普通株式と比べて配当などを受け取る優先順位が低い株式のことです。普通株式に利益の一部を配当金として渡した後に劣後株式への配当が実施されるため、配当金が低くなる可能性があるでしょう。

劣後株式は相続税対策に用いられることがあります。例えば劣後株式は配当順位が低い分、普通株式よりも価値が低いと考えられるため、贈与の際に用いれば贈与税を削減することが可能です。

 

優先株式を発行するメリット・デメリット

優先株式を発行することにはメリットがあります。主なメリットとしては次の2点を挙げられるでしょう。

  • 資金調達できる
  • 株主の経営介入を回避できる

 

メリットがある一方でデメリットもあります。主なデメリットは次の2点です。

  • 発行に手間がかかる
  • イメージが良くない

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

メリット

優先株式は普通株式よりも優先権があるため、投資家にとっては魅力的な株式といえます。資金調達が必要なときは優先株式を発行して、投資家の購買意欲を高めることができるでしょう。

また、優先株式は普通株式とは異なり、さまざまな制限を設けることが可能です。配当や残余財産は多く受け取れるけれども経営には関与できないように定めれば、投資家から資金調達しつつ、経営に関して介入されることを回避できます。

デメリット

優先株式を発行するためには、定款を変更しなくてはいけません。定款を変更するためには株主総会を開催し、議決権の過半数を有する株主に参加してもらい、その上で出席した株主が有する議決権の2/3以上の賛成を得る必要があります。普通株式とは異なり手間がかかることはデメリットといえるでしょう。

また、優先株式は普通株式とは配当や残余財産の分配におけるルールが異なるため、不透明な印象を与える恐れがあります。資金調達が難しいので優先株式を発行したというイメージを持たれることも多く、経営状態が良くないなどの憶測を呼ぶこともあるでしょう。

 

優先株式を発行する2つの方法

優先株式を発行する方法は、次の2つです。

  1. 優先株式を新しく発行する
  2. 普通株式を優先株式に転換する

それぞれの方法を具体的に見ていきましょう。

1.優先株式を新しく発行する

新規に株式を発行する際に、優先株式として優先権を付与する方法があります。ただし、今まで普通株式しか発行していない場合は、定款を変更して優先株式を発行することとその株式総数を定めなくてはいけません。

定款を変更する際には、株主総会で特別決議を取ることが必要です。特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、なおかつ出席した株主の有する議決権の2/3以上の賛成を得ることで成立します。

優先株式を新しく発行した場合は、株式総数が増えることになるでしょう。既存の株主に分配すれば株主数は増えませんが、新たに別の投資家に募る場合は株主が増えることになります。株主が増えると決議を取る際に出席する株主数も増えることになるので、意思決定がしにくくなる可能性が考えられるでしょう。

2.普通株式を優先株式に転換する

すでに発行している普通株式を優先株式に転換することも可能です。この場合は、新たに優先株式を発行する場合よりもさらに手間がかかることになります。

まずは株主総会で定款を変更するための特別決議を取らなくてはいけません。特別決議が決定する条件は、新規に優先株式を発行する場合と同様です。その後、優先株式への変更を希望する株主全員からの合意を得て合意書を作成し、普通株式のままを希望する株主全員の同意を得て同意書を作成します。書類作成後、法務局で優先株式と普通株式の発行株数を登記申請すれば手続きは完了です。

普通株式を優先株式に転換する手続きは手間がかかるだけでなく、同意や合意を得ることが難しいという問題点があります。また、優先株式への変更を希望する株主が多すぎる場合、あるいは少なすぎる場合は、予定したよりも多い・少ない優先株式を発行することになるのも注意が必要です。

 

株式譲渡をご検討の方はぜひご相談ください

優先株式を発行することで普通株式より魅力が増大し、資金調達がしやすくなるというメリットがあります。しかし、優先株式を発行したことにより資金難という評判を呼ぶこともあり、企業の信頼性を落としてしまうことにもなりかねません。

また、優先株式を発行するためには特別決議を取る必要があり、株主総会に出席する株主が少ない場合や出席株主の中から賛同を得られない場合には、発行そのものができなくなる可能性もあります。

資金調達の方法をお探しの方は、ぜひ弊社にご相談ください。経験豊富なスタッフが親身に寄り添い、株式譲渡などのさまざまなM&Aの手法から最適解を選んでご提案いたします。思わぬところに解決策が見つかることもあるかもしれません。無料でご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

関連記事はこちら