事業売却の相場は?計算方法と高く売る方法、費用について解説します

「事業売却」を検討している方にとって、どの程度の対価を得られるのか気になる点ではないでしょうか。こちらでは、事業売却の相場と少しでも高く売却する方法について説明します。また事業売却の際にどのような費用がどの程度かかるのかについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

事業売却の相場を計算する4つの方法

事業を売却した資金で、新事業を始めたり既存事業を拡大させたりしようと考えている方も多いのではないでしょうか。売却する前にどの程度の対価を得られるのか知っておくと、今後の予算も立てやすくなります。事業売却で得られる対価の相場を計算する方法を4つ紹介しますので、ぜひ計算してみてください。

 

1. 時価純資産から求める

事業が保有する時価資産額から時価負債額を差し引いて、売買評価額を試算することができます。資産として土地などが含まれるときにも、活用されることが多い方法です。ただし、この方法では企業の独自性やブランド価値などの無形資産は評価ができないので、他の方法も併用して試算するようにしましょう。

 

  • 売買評価額=時価純資産+営業権

 

なお、営業権とは年間営業利益の2倍~5倍で計算されることが一般的で、業種によって異なります。最新年度の利益から計算することもできますが、その場合は、特別な事情で生じた利益や損失(不動産の売買など)については含めないで計算します。

 

2. DCF法で求める

将来的に見込まれるキャッシュフローを割引現在価値に修正して事業価値を計算する方法が「DCF法」です。この計算方法ではのれんなどの無形資産も評価に含めることができるので、事業資産に不動産等の価値がある程度安定した資産が含まれていないときにも利用しやすいでしょう。

ただし、将来的に見込まれるキャッシュフローは事業計画書に基づいて算出するため、事業計画書が詳細かつ客観的でないときは実際に得られる利益と大きな乖離が生じることがあります。

 

3. EVITDAマルチプル法で求める

「EVITDAマルチプル法」とは、中小企業のM&Aには用いられる手法で、企業価値を会社の収益力の何倍かを評価するやり方です。

会社の収益力はEVITDAとして求められ、営業利益+減価償却費で表されます。

倍率は事業規模や業界等が類似している企業から計算されますが、5倍~10倍とケースにより異なります。

最終的にはここに、余剰資産から有利子負債を差し引いたものを足して計算されます。

 

4. 過去の類似規模の事例から推測する

売却したい事業と類似した規模の事業売却の例から、おおよその売買評価額を求めることもできます。

また、類似規模の売却例がない場合でも、株価評価をしたことがあるならば、その際に算出した評価額を基に類似する株価での売買例と照らし合わせて売買評価額を類推できるでしょう。

 

事業を少しでも高く売却する4つの方法

事業売却によって得られる資金は、新事業や既存事業の拡大、もしくは老後資金などさまざまな状況に活用できます。少しでも高額な資金を得るためにできることについて見ていきましょう。

 

1. 会社売却を検討する

事業売却では、会社そのものの経営権は売却しません。そのため、会社の事業全部を売却する場合よりも、会社自体を売却するほうが高額な対価を得られます。もし、会社を残しておく必要性が少ない場合は、会社売却も検討してみましょう。

また、売却する対象の拡大も検討できるかもしれません。事業ノウハウだけでなく人材や不動産等、買い手企業にとって魅力的な資産を売却対象とすることで、価格向上を目指しましょう。特に人材に関しては事業継続の即戦力となるため、買い手企業に強くアピールすることがあります。

 

2. 子会社化してから会社売却をする

会社自体は残しておきたい場合は、事業だけを会社から切り離して子会社化し、その子会社を会社売却するという方法もあります。相手企業にとっては会社ごと買い取れるので、事業売却より高値の取引がしやすくなるでしょう。

また、子会社の資産にのれんが含まれている場合は、買い手企業にとっては節税効果も期待できます。売却時に子会社化する手間はかかるもののそれ以上の価値が生まれる可能性もあるので、M&A仲介業者などの専門家に相談してみましょう。

 

3. 同業者へ売却する

新規事業として買収したい企業よりは、同業者のほうが高額に評価してくれる可能性があります。同業者であれば事業における注意点や流れも熟知しているので、買収後もスムーズに事業継続ができるでしょう。

また、販路や設備が増えるため市場シェア拡大も実現でき、業界トップあるいは大手を目指す足掛かりになります。

 

4. 技術力などの強みをアピールする

技術力や特許、優れたノウハウなど、売却事業が持つ強みをアピールすることもM&A交渉に際しての大切なポイントです。同業者ならもちろんのこと、異なる業界の企業であっても、売却対象に含まれる技術や特許などが既存事業とシナジー効果を生むと判断される場合は、売買評価額はさらに高くなるでしょう。

 

事業売却にかかる費用

事業売却によって対価を得ることはできますが、売却時に費用もかかるので注意が必要です。売却資金の使途が決まっている場合は、売却費用から費用を差し引いて見積もっておきましょう。

 

法人税や消費税などの税金

事業売却によって得られる対価から譲渡資産の簿価を差し引いた金額を「譲渡益」と呼び、この譲渡益に対して法人税が発生します。法人税には法人事業税と法人住民税があり、譲渡益によっても税率は異なりますが40%ほどと見積もっておくことができるでしょう。

また、譲渡益が生じるかどうかに関係なく、売却によって得られた対価に対して10%の消費税が発生します。消費税は消費する人、この場合は買収する企業が支払うことになるので、売却側には課税されません。

なお、売却した資産に土地や有価証券、債権が含まれている場合は、その価格に関しては消費税の課税対象外となります。しかし、土地以外の有形資産や無形資産、のれんなどに関しては課税されるので、正しく買い手企業に請求して、売却側が納税するようにしましょう。

 

仲介手数料

M&A仲介業者やFA(ファイナンシャルアドバイザー)を通して事業売却を行う場合は、手数料が発生します。手数料は業者ごとに異なるので、事前に確認しておきましょう。

業者によってかかる費用が異なるだけでなく、細目も異なるので注意が必要です。例えば依頼をする際に着手金が必要な業者もあれば、着手金不要で月額報酬と成功報酬だけで仲介を引き受ける業者もあります。

 

M&A仲介業者に売却費用の見積もりを依頼しよう

事業売却によってどの程度の対価を得られるかは、売買相場を参考にするなどの紹介した方法を使っておおよその見込みを立てることができます。より詳しく算定したい場合は、M&A仲介業者に売買評価額を見積もってもらいましょう。

また、M&A仲介業者を通して事業売却を進めていくことで、幅広い選択肢から相手企業を選べるだけでなく、交渉等をスムーズに進めていくことにもつながります。弊社では着手金・中間金無料で事業売却をサポートしていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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