業績不振とはどのような状態か?陥ったときは何をすべき?考えられる原因と対処法を解説
業績不振に陥ったときは、まずは原因を究明し少しでも被害を抑えるための対処策を実施していく必要があります。そもそもどのような状態で業績が思わしくないと判断するのか、また考えられる原因や具体的な対応方法について見ていきましょう。
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業績不振とはそもそもどのような状態?
業績不振とは、売上や利益などが減っている状態のことを指します。「宣伝費を投入しているのに結果が出ない」「販売量を増やしたのに在庫が増えるだけ」など結果が出ないことにより会社の経営が厳しくなっている状態であれば、すべて業績不振ということができるでしょう。
業績不振は早めに気付くことが大切です。業績が出ていない状態が長引くということは、それだけ負の結果が加算され回復までに時間がかかるということを意味します。早めに気付き、早めに何らかの対策を講じるようにしましょう。
業績不振に陥る7つの原因
業績不振が生じるのには必ず理由があります。理由を突き止めることで、解決策も立てやすくなるでしょう。まずは業績不振の原因が次のいずれに該当するのか調べてみてください。
- 売上高の減少
- 取引先や関連会社の不振
- 資本力不足
- 過剰な設備投資
- 経営問題
- 組織内問題
なお、問題は1つだけとは限りません。複数の問題が生じ、それらが業績不振を加速させている可能性もあります。必ず現状を多方面から分析しておきましょう。
1.売上高の減少
倒産の原因としてもっとも多いのが売上高の減少です。売上高が減っても、その分規模を縮小して採算が合うように意図的に仕組みを変えているのであれば問題はないでしょう。しかし売上を得るために投入する資金はそのままあるいは増加しているにもかかわらず売上高が減少している場合は、早めに対策を考えなくてはいけないでしょう。
売上高の減少は、さまざまなところで予兆が現れます。次のような変化や数字が見られたときは、早めに対策を考えましょう。
- 流動資産÷流動負債<1
- 当期利益÷総資本<0.01
- 当期利益÷自己資本<0.1
- 経常利益÷売上高<0.03
また、在庫が売上高の何ヶ月分に相当するかについても計算してみましょう。0.5ヶ月~1ヶ月程度であれば問題はありませんが、それを超えると売上高の減少につながることがあります。
2.取引先や関連会社の不振
取引先や関連会社の経営状態が不振のときは、その余波を受けて業績不振になることがあります。例えば取引先から売掛金を回収できないときや大幅に遅れるときなどは、資金繰りが悪化し会社を維持することが難しくなることもあるでしょう。
取引先や関連会社から負の影響を受けないためにも、普段から販売先・仕入れ先を分散させておくことができます。経営状態が良好な企業と関わるときも、万が一のあおりを受けないためにも依存し過ぎないようにしましょう。
3.資本力不足
会社法が改正され、資本金なしでも起業できるようになりました。しかし、会社を運営していくためにはある程度の資本は必要です。資本力がないと、少し売掛金の回収が遅れるだけで金融機関への返済が滞ったり、従業員への給与を支払えなくなったりすることがあります。
業績不振の原因が資本力不足にある可能性もあるので、利益が出たときはすぐに設備投資や販売拡大を行うのではなく、資本力をつけるために蓄えるようにしましょう。
4.過剰な設備投資
資本力が十分にないときに過剰な設備投資を行うと、取引先からの入金タイミングや仕入れ先からの入荷が遅れるだけでも経営を維持できなくなることがあります。投入した設備が利益を生み出すまでには時間がかかるものです。まだ利益を生み出していない設備がある場合は、次の設備投資は少し見合わせてもよいかもしれません。
5.在庫量の増加
在庫量が増加するということは、投資した資金が回収できていない状態が続いているということでもあります。在庫量を1ヶ月の売上高で割り1を超えているときは、在庫が多すぎると考えられます。その場合は、仕入れを一旦止めることも検討してみましょう。
また在庫が多すぎて新たに倉庫を借りるのは、負債を増やすだけで利益増には繋がりにくい行為です。倉庫を増やす前に、在庫量・販売量・売上高のバランスが取れているのか見直して見てください。
6.経営問題
経営に問題があり、業績不振になっている可能性もあります。例えばすべての責任が経営者だけに集中している場合、客観的な判断がしにくくなり、経営不振や業績不振に陥るかもしれません。
また判断力に問題がなくても、経営者が病気やケガをしたときは経営活動が止まり、業績不振に陥る可能性があります。万が一の場合に備えるためにも、責任や権限をある程度は分散させておきましょう。
7.組織内問題
組織の在り方に問題があり、業績不振という形になって表れている可能性もあります。
例えば、経営者がすべての業務や従業員を直接管理することは不可能ではありません。しかし会社の規模が大きくなってくると、1人で管理することに無理が生じるようになります。管理職として適切な能力を持つ人材を任命し、業務がスムーズに進むように取り図ることが必要になるでしょう。
業績不振のときに実施できる3つの対処策
業績不振であることに気付いたときは、一刻も早く適切な対策を講じる必要があります。原因を分析し、どのような改善策を取れるのか探っていきましょう。
業績不振のときは、次の3つの対処策のいずれかを実施することが一般的です。現状に即した対処策を選び、不振からの一刻も早い脱却を目指しましょう。
- 無駄なコストの削減
- 業務プロセスの改善
- 事業売却などのM&A
1.無駄なコストの削減
業績不振の原因の大半は、売上高の減少です。売上高を増やすためには商品やサービスそのものの見直しや、適切な広告活動などが必要になるでしょう。
しかし、見直しや広告活動が効果を発揮するには時間がかかり、即効的な対策にはなりません。商品などの見直しや広告活動も並行しつつ、まずは無駄なコストがないか分析し、極力削減していきましょう。
2.業務プロセスの改善
コストに無駄があるだけではなく、業務プロセスにも無駄があるかもしれません。プロセスに無駄があると、それだけ手間と時間がかかり従業員に無駄な労力を強いることになってしまいます。人材を適切に活用するためにも業務プロセスを見直し、効率的に収益を上げる仕組みを構築しましょう。
業務プロセスを改善した後は、目標が達成されているのかモニタリングを実施することも大切です。モニタリングを何度も実施し、最適かつ無駄のないプロセスを完成させていきましょう。
3.事業売却などのM&A
コストやプロセスに無駄がないにも関わらず、業績不振が続く場合もあるでしょう。このような場合はビジネスモデル自体に問題がある、あるいは取引先の不振や市場縮小などの外的な要素が原因になっていることが考えられます。
業務改善が難しい場合は、事業を売却するなどのM&Aも検討できるかもしれません。倒産という道を選ぶと、従業員の生活を守れなくなってしまいます。しかしM&Aであれば従業員の生活を守りつつ、企業再生できる可能性もあるでしょう。
M&Aをご検討の方はぜひご相談ください
業績不振からの脱却が難しいときは、ぜひ弊社にご相談ください。M&Aを利用して、財務的な基盤を強化する、他会社のアセットを活用するなど、業績回復のための道筋が描けることもあります。
どのような方法が適しているのか比較検討した上で、最適なM&Aの方法をご提案いたします。業績不振の状態が長引くと、その分負債が蓄積し改善が難しくなることが少なくありません。早めに変化に気付き、再生への道を進みましょう。