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情報管理と承継計画が成否を分ける!事業承継のM&A事例を紹介

近年、親族内承継や社内承継に代わって、M&Aによる事業承継を活用するケースが中小企業を中心に増えつつあります。

M&Aが事業承継の手段として注目されている理由や、M&Aによる事業承継を実際に行った事例としてはどの様なケースが存在するのでしょうか?

本記事では実際にM&Aによる事業承継を成功させたケースについて、M&Aを巡る現状や事業承継を成功させる為のポイントを交えつつご紹介します。

M&Aと事業承継を巡る現状

事業承継を目的としてM&Aを行う事例は、中小企業を中心に近年増加傾向にあります。事業承継のM&A手法としては保有する株式を相手方に売却する「株式譲渡」が一般的です。

事業承継目的でのM&A事例が年々増えつつある理由としては、中小企業が後継者不足人口減少による市場規模の縮小といった様々な問題を抱えている現状が挙げられます。

加えて、親族や社内に経営能力に長けた適当な人材が見当たらず、また仮に見つかったとしても自社株売買や手続きに伴う税負担の問題を解決する見通しが立てられないケースも数多く存在します。

ですが、M&Aであれば個人保証相続税負担といった問題を解決しつつ、経営ノウハウを持つ相手に短期間で会社を譲渡できます。

新型コロナウイルスの影響や、経済産業省から中小企業のM&A促進の為の予算税制措置を検討する方針が発表された事もあって、事業承継の為にM&Aを活用する事例は今後一層増加すると予想されます。

M&Aを成功させる為のポイント

では次に、事業承継目的でM&Aを行う際に譲渡側企業が気をつけるべきポイントについて解説します。

情報管理の徹底

事業承継目的でのM&Aを成立させる上で最も意識するべきポイントが、情報管理の徹底です。

株主に対する説明責任やリスク管理の観点からM&Aの際には買収先企業に対してデューデリジェンス(買収監査)が行われるケースが一般的ですが、この段階になって初めて事前の情報開示で相手方に伝えなかった簿外債務やマイナス情報が発覚するような事があれば、交渉相手の信用を失い、M&A交渉自体が白紙になりかねません。

また、取引先企業や従業員等に対する事業承継情報の漏えいは、取引量の減少や社内の混乱といった事態を引き起こす可能性があります。

M&Aによる事業承継を検討される際には情報管理徹底の為にも、社内の各部門や専門家との協力体制を構築する必要があります。

事業承継計画の作成

円滑な事業承継を行う為には、自社の経営課題や現時点における市場価値・M&Aに踏み切るタイミングといった様々な要素を考慮した上で、具体的な数値目標を定めた事業承継計画を作成する事が重要となります。

特に売却のタイミングに関しては、市場環境の変化や突発的なトラブルの影響により収益が減少した状態でM&Aを行ったとしても高額な売買価格は見込めないため、細心の注意を払う必要があります。

買収後の取引先喪失や、M&A交渉期間内における業績悪化といった自社の市場価値を下げる要因を排除する意味でも、入念な事業承継計画を作成する様に心掛けましょう。

専門家への相談

M&Aを行う際には、法律や税金・経営分析といった様々な分野に関する専門知識が必要とされます。

税理士や弁護士といった専門家やM&A仲介会社によるサポートを活用して、M&Aによる事業承継を円滑に進める様にしましょう。

また、とくに事業承継型M&Aに特化している企業へ依頼することで、事業承継の文脈から逸れることなく、意志や文化を引き継いだ理想的なM&Aを実現しやすくなります。

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M&Aによる事業承継の事例

では最後に先程挙げた事業承継におけるポイントを踏まえた上で、実際に行われたM&Aによる事業承継の事例について見てみましょ

まるかわ食品のヨシムラ・フード・ホールディングスに対する事業譲渡

2018年、まるかわ食品はヨシムラ・フード・ホールディングスに対してギョウザ製造販売事業の譲渡行いました。

まるかわ食品が製造販売するギョウザは1世帯当たりの年間ギョウザ購入学が全国2位を誇る浜松エリア内でも高い人気を誇りますが、同社オーナーの高齢を理由に事業の閉鎖が検討されていました。

こうした中で、まるかわ食品の有するブランド力やレシピに目をつけたヨシムラ・フード・ホールディングスが、M&Aよる事業承継という形でギョウザ製造販売事業を譲り受ける事となりました。今回のM&Aを通して両社は生産力および売上を強化し、更なる成長を目指します。

参考:有限会社まるかわ食品の事業譲り受けに関する基本合意書締結のお知らせ

釜淵商事が取り組んだ事業承継型M&Aの事例

建設骨材や家畜飼料の運送業を営む釜淵商事は2018年、事業承継税制の特例制度が開始された事を契機として事業承継に踏み切りました。特例税制を活用した事業承継により同社は、事業承継に係る税額1600万円の100%猶予を実現する事に成功しています。

今後は顧問税理士との打ち合わせにより判明した経営課題の解決に向けて、大型トレーラーの導入による経営効率化や役員の若返りを目指します。

参考:子・孫世代を見据えた、地域に支持される運送業の事業承継│経済産業省

ITソフトジャパンがインフォメーションサービスフォースに対して株式を譲渡

トライアンフコーポレーションの連結子会社であるインフォメーションサービスフォースは2019年に、システム開発企業のITソフトジャパンの全株式を取得しました。

ITソフトジャパンは約15年間のシステム開発業務で培ってきた技術力と優秀な技術者を有する一方で、経営者の高齢化による事業承継問題を抱えていました。

今回のM&Aにより同社が直面している経営問題を解決しつつ、情報技術事業の拡大と経営統合による成長加速効果が期待されています。

参考:トライアンフコーポレーション<3651>、システム開発会社の全株式取得

事業承継によるM&Aは事前準備が大切

本記事では事業承継の手段としてM&Aを活用した事例の中でも中小企業を対象としたケースについて、M&Aと事業承継を取り巻く現状やM&Aを行う際に譲渡側企業が意識するべきポイントと合わせてご紹介しました。

M&Aによる事業承継は後継者問題の解決手段という側面に加え、両社の成長を加速させる効果も併せ持っています。しかしその一方で、M&Aによるメリットを最大限に引き出す為には交渉期間における情報管理を徹底し、綿密な事業承継計画を立てなければなりません。

事業承継の手段としてM&Aを活用する事例が増加傾向にある中で少しでも自社の市場価値を高める為にも、本記事で取り上げた事例から読み取れる特徴や各種ポイントをしっかりと頭に入れた上で交渉に向けた準備を進めましょう。

事業承継は経営者自身の引退を意味します。そのため、これまでに経験してこなかったような不安を感じてしまうことも少なくないでしょう。しかし、企業も人間の体と同様に新陳代謝を繰り返して先へ進んでいきます。これまでご自身が成し遂げてきた仕事の集大成として、事業承継に取り組んでみませんか。

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