『ロングリスト』とは?ショートリストとの違いは?それぞれのリストの活用法も解説

ロングリストとは、M&Aにおいて売却先あるいは買収先の企業の候補を記したものです。幅広い条件からリストアップしていくため、100社以上の候補を記すこともあり、文字通り長いリストになります。ショートリストとの違いや活用方法について見ていきましょう。

 

『ロングリスト』の意味とは

ロングリストとは、M&Aにおいて相手先企業がリストアップされたものです。事業や会社の売却を検討している側にとっては売却先のリスト、買収を検討している側にとっては買収先のリストを指します。

多い場合では100社以上ものM&Aの候補企業がリストアップされるため、文字通り長いリストになることも珍しくありません。

「ショートリスト」との違い

ロングリストにリストアップされている候補企業は多く、一つひとつの会社を売却先・買収先としてふさわしいかを調べることは容易ではありません。時間がかかるだけでなく、各企業を調査する手間やコストも発生します。

ロングリストから特定の条件で候補企業を絞り込んだものが「ショートリスト」です。数社程度に絞り込めば、調査に手間やコストがかかりにくく、M&Aをスムーズに進めることができます。

 

ロングリストとショートリストの作り方

M&Aを行うに際して、相手企業の選定は重要な工程です。適切に相手企業を設定すれば、M&Aがスムーズに進み、価格などの条件も満足のいくものになるでしょう。

相手企業を選定する際にはロングリストとショートリストが必要です。ロングリストで候補企業に何がリストアップされているかを把握し、ショートリストを作成してターゲットを絞り込んでいきます。以下の手順で作成していきましょう。

  1. リストアップの基準を定める
  2. 企業情報を収集しロングリストを作成する
  3. 条件で絞り込みショートリストを作成する
  4. 対象企業を順位付けする

 

1.リストアップの基準を定める

ロングリストでは、できるだけ多くの企業を集め、より条件に合致する企業を見つけやすい状態にします。しかし、単に「M&Aを希望している」という条件だけで企業を選ぶと、数千、数万もの企業がピックアップされ、候補企業の選定がより複雑なものになってしまうでしょう。

ロングリストを作成する前に、まずはおおまかなリストアップの基準を定めます。例えば企業規模や業種、希望価格などの基準を定めておくと、該当しない企業は除外されるので選定が容易になるでしょう。

2.企業情報を収集しロングリストを作成する

企業情報の照会が可能なデータベースやM&Aの仲介会社を活用し、リストアップの基準に合致する企業を選定してロングリストを作成します。基準をどの程度細かく設定するかにもよりますが、ロングリストに100社よりも多い企業が含まれていると、ショートリストへの絞り込み作業に手間がかかる可能性があるでしょう。

なお、ロングリストに含める情報には特に決まりはありません。企業名と本社の住所、URL、M&Aの担当者の名前とメールアドレスがあれば、ショートリストに絞り込んだ後も、スムーズに候補企業の選定を進めていけるでしょう。

3.条件で絞り込みショートリストを作成する

次はロングリストを絞り込んでショートリストを作成する過程です。ロングリストを作成する際に定めた基準よりもさらに細かな基準を設け、より希望に合う企業のみを残す作業を進めていきます。

例えばM&Aによって事業売却を行い、利益獲得を目指している場合は、売却する事業規模と同程度の事業買収を希望し、なおかつ買収予算が高めの企業をリストアップしていくことができるでしょう。また、会社を合併して事業規模を拡大させることを目的としている場合は、自社と同程度の企業買収を希望し、なおかつ経営権の獲得にはこだわらない企業を条件に加えます。

シナジー効果が得られるかで絞り込む

経営効率の改善を目的とする場合、あるいは企業合併を目標に設定している場合は、相手企業とM&Aを実現することでシナジー効果が得られるかという点に注目して絞り込んでいきます。

例えばオリジナルの技術には自信があっても、創業してから日が浅く、販路が少ないことに悩んでいるとしましょう。このような企業であれば、販売店舗や販売チャネルが多く、なおかつ企業名がブランド化しているほどネームバリューがある企業とM&Aを実現することで、シナジー効果が生まれ、飛躍的に売上高を向上できるかもしれません。

M&Aの目的によって絞り込む

M&Aの目的によっても、候補企業を絞り込むことができます。事業承継の目的でM&Aを実施するのであれば、事業を引き継ぎたい経営者、あるいは実績があり、安心して事業を任せられる経営者のいる企業にターゲットを絞り込むことができるでしょう。

M&Aには事業承継以外にも、企業再編や経営効率の改善、事業あるいは企業の完全売却などのさまざまな目的があります。まずはM&Aを実施したい目的を明確にし、目的達成に適した企業を選んでいきましょう。

4.対象企業を順位付けする

ショートリストに絞り込んだ後で、各企業の条件や業績から順位付けを行います。M&Aの交渉は、必ず成功するとは限りません。条件が合致すると判断して候補企業に選んでも、話しを詰めていくうちに認識の相違が明らかになり、交渉不成立になる可能性があるからです。

順位付けした後は1位から順に交渉を行い、可能な限り希望に近い条件でM&Aを実現できるようにしておきましょう。

 

ロングリスト・ショートリストの活用方法

ロングリストやショートリストは、さまざまなシーンで活用することができます。おおまかな条件でおおまかに絞り、細かな条件を設定して細かく絞り込むという単純な方法であるからこそ、汎用性が高いといえるでしょう。主なシーンとしては次の2つを挙げられます。

  • M&Aの相手企業をリストアップする
  • 取引先企業をリストアップする

 

M&Aの相手企業をリストアップする

今回紹介したように、M&Aの相手企業をリストアップする際にロングリストやショートリストを用いることは少なくありません。M&Aを実施するときには多額の資金が動きます。また、条件が少しでも異なると、その後の企業運営に多大な影響を与えることもあるでしょう。

満足度が高く将来性のあるM&Aを実現するためにも、可能な限り広範囲から相手企業をリストアップし、詳細な条件比較で絞り込んでいくロングリスト・ショートリストが有用になります。

取引先企業をリストアップする

取引先を選ぶ際にも、ロングリスト・ショートリストの手法は有効です。どの取引先を選ぶかによって、自社の将来が大きく変わることもあります。シナジー効果が生まれて飛躍的に成長できることもあれば、経営効率が悪化し、取引を後悔することもあるでしょう。可能な限り広範囲から取引先企業をリストアップするロングリストの手法を用い、納得できる企業を選定していきます。

 

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