『事業承継・引継ぎ補助金』は買い手も売り手も利用可能!条件や補助内容を解説

事業承継の際にはさまざまな費用が発生しますが、国の補助金事業を活用してコストダウンすることも可能です。どのような費用に利用できる補助金なのか、また適用条件や受給手続きについて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

『事業承継・引継ぎ補助金』とは?

事業承継補助金とは、正しくは「事業承継・引継ぎ補助金」という名称で、事業承継を実施して新しいビジネスを創出する事業主や、事業の再編・統合を行う事業主を支援する事業です。

令和2年度の第3次補正予算事業である本事業は、令和3年5月24日からは専用サイトも開設し、利用者の公募が始まりました。原則として電子申請のみの受付なので、経済産業省が運営する補助金申請用のシステムのアカウント(gBizIDプライム)が必要です。アカウントの発行には2週間~3週間かかるので、申請する方は早めに発行しておきましょう。

補助金事業の目的

事業承継補助金事業は、事業者が事業承継を利用して新しい事業を始めるための経費の一部をサポートすることを目的としています。また、事業承継だけでなく、事業の再編や統合を利用して、新しく事業を始めるケースにも本事業の補助金を活用することが可能です。

事業承継などに伴う経費をサポートすることで、より多くの事業者が事業承継しやすくなります。事業承継や事業統合などが活発になると、日本経済全体の活性化も期待できるでしょう。

対象となる事業者

本事業は、事業承継や事業統合を行い新たなビジネスを始める中小企業と個人事業主を対象としています。また、以下の条件も満たしていなくてはいけません。

  • 日本国内に拠点があり、国内で事業を行っていること
  • 補助金事業に対する調査やアンケートに協力すること
  • 社会福祉法人や医療法人、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人、学校法人、農事組合法人、組合は含まない

 

上記に加え、以下の条件も満たしている必要があります。

業種資本金あるいは出資総額常時使用する従業員数
製造業3億円以下300人以下
一部を除くゴム製品製造業3億円以下900人以下
卸売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
ソフトウエア業、情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下

※資本金あるいは出資総額と常時使用する従業員数は、どちらかの条件を満たしている必要があります。

 

個人事業主は以下も満たしている必要があります。

  • 青色申告をしていること

 

申込期間と補助金受給までの流れ

公募は2回に分かれて実施されます。1回目は2021年6月11日~2021年7月12日18:00、2回目は2021年7月13日~2021年8月13日18:00です。

 

交付が決定した場合は、最長2021年12月31日まで補助金事業の対象となります。以下の手順で補助金の交付を受けましょう。

  1. 事業者が交付申請手続きをする
  2. 補助金事務局による審査
  3. 事業者が進捗状況を報告
  4. 事業者が実績報告
  5. 補助金事務局が交付可能か確定通知
  6. 事業者が補助金請求
  7. 補助金事務局が補助金交付

 

申請が認められない場合

以下のいずれかに該当する場合は、補助金事業に申請できません。

  • 事業の再編・統合後に対象会社もしくは被承継者の議決権が過半数にならない
  • 事業の再編・統合前に対象会社もしくは被承継者の議決権が過半数である
  • 被承継者もしくは被承継者の株主と承継者が同族関係
  • 被承継者もしくは対象会社と承継者が支配関係のある法人
  • 事業譲渡をすると申告しつつ不動産売買のみで事業譲渡を行っていない

 

以下の場合は単に不動産売買をしたとみなされ、補助金申請の対象にはなりません。

  • 最終契約書が不動産売買契約書のみ
  • 不動産と取引契約の引継ぎのみで、常時使用する従業員として1名以上の引継ぎを実施していない
  • 事業を行っていない個人から不動産のみを買収する
  • 空き家のみを買収・売却する
  • 賃貸物件のみを買収・売却する
  • 株式や事業、営業権を譲渡しないで、物件の賃借権を譲渡する
  • 補助対象経費が不動産売買の経費のみ

 

【買い手支援型】事業承継補助金の内容

事業承継補助金制度では、事業承継や事業の再編・統合に伴う手続きをM&Aの専門家に依頼した場合に発生する費用が補助されます。M&Aの費用は、事業を承継する側(買い手)だけでなく承継される側(売り手)も必要となりますが、本事業ではどちら側も申請することが可能です。まずは買い手側の利用条件や対象となる費用について見ていきましょう。

利用できる条件

本事業を利用できるのは、事業承継などによって経営資源を引き継ぐ予定の中小企業・個人事業主です。この条件を満たしている中小企業・個人事業主を「買い手」と呼び、なおかつ以下の2つの条件を満たすときは本事業に申請できます。

  • 経営資源の引継ぎ後に、シナジーを活かした経営革新の実現が見込まれること
  • 経営資源の引継ぎ後に、地域経済をけん引する事業の実施が見込まれること

対象となるM&Aの方法

買い手が法人である場合は、第三者割当増資か吸収合併、吸収分割、事業譲渡のいずれかのM&Aを実施する際に、本事業の補助金申請ができます。一方、買い手が個人事業主の場合には、株式譲渡か第三者割当増資、事業譲渡のいずれかのM&Aの際に補助金申請が可能です。なお、事業譲渡に関しては、被承継者は法人あるいは個人事業主であることが条件となります。

補助金対象となる経費と金額

補助金対象となるのは、M&A仲介会社への謝金や手続きにかかった旅費、外注費、委託費、システム利用料です。ただし、これらの費用がいずれも事業承継などに必要であったということを示す証拠書類を提出する必要があります。

補助金が交付されるのは、対象経費の2/3以内で、なおかつ50万円以上400万円以内です。対象経費の2/3が50万円を超えないときは交付されません。

 

【売り手支援型】事業承継補助金の内容

事業承継や事業の再編・統合を行う売り手側も、本事業でM&A仲介会社に支払う費用などの支援を受けられます。具体的な条件や対象となるM&Aの方法について見ていきましょう。

利用できる条件

本事業を利用できるのは、事業承継などによって経営資源を譲り渡す予定の中小企業・個人事業主です。この条件を満たしている中小企業・個人事業主を「売り手」と呼び、なおかつ以下の条件を満たすときは本事業へ申請できます。

  • 地域経済をけん引する事業を行っていて、事業承継後も地域経済をけん引する事業が継続されると見込まれること

対象となるM&Aの方法

本事業の対象となるのは、被承継者が法人の場合は第三者割当増資か株式移転、新設合併、吸収合併、吸収分割、事業譲渡です。事業再編や第三者割当増資、株式交換、株式移転、新設合併、吸収合併、吸収分割、事業譲渡のいずれかと廃業をセットで行う場合も対象となります。

被承継者が個人事業主の場合は事業譲渡が本事業の対象です。事業再編や第三者割当増資、株式交換、株式移転、新設合併、吸収分割、吸収分割、事業譲渡のいずれかと廃業をセットで行う場合も対象となります。

補助金対象となる経費と金額

補助金対象となるのは、M&A仲介会社への謝金や手続きにかかった旅費、外注費、委託費、システム利用料、また廃業にかかった廃業登記費や在庫処分費、解体費、原状回復費です。ただし、これらの費用がいずれも事業承継などに必要であったということを示す証拠書類を提出する必要があります。

補助金が交付されるのは、対象経費の2/3以内で、なおかつ50万円以上400万円以内です。対象経費の2/3が50万円を超えないときは交付されません。また、廃業をする場合は補助金の交付額が対象経費の2/3以内で200万円まで上乗せされます。

 

事業承継・M&Aについてご相談ください

事業承継にはさまざまな方法があり、状況に合わせて適した手法が異なります。事業承継補助金を活用することで、会社売却・事業譲渡かかる費用を抑えることができるので、該当する場合は申請を検討しましょう。

また、弊社では補助金を利用しなくても負担なく会社売却・事業譲渡を進められるよう着手金・中間金無しの成果報酬のみで、最低報酬もリーズナブルな金額に設定しております。補助金はその支払いが保証されるものではありませんから、支払いを低く抑えたい、という方はぜひ一度ご相談ください。

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