自分の会社はいくらで売却できる?|企業価値の具体的な計算方法や価値を高める方法を詳しく解説
経営者が会社売却を検討する際、やはり気になるのは「いくらで売れるのか」ということでしょう。
企業価値とは、企業を金額に換算したものです。会社を売却する際は、まず自分の会社はいくらの企業価値があるのか把握することが必要です。具体的にはどのように計算できるのか、また、どうすれば金額を高めることができるのかについて解説します。
CONTENTS
企業価値とは何か?わかりやすく解説
企業価値とは、企業の価値を金額という目に見える形で表示することです。特定の企業を買収するとき、あるいは自社を売却するときなどには、金額がいくらであるかという情報が不可欠になるでしょう。企業価値を算出して、具体的な価格を提示することで、買収や売却などのM&Aを進めていきます。
時価総額との違い
時価総額とは、株式をすべて現金化したときの金額です。株価に発行済みの株式数をかけることで算出できます。
時価総額も企業の価値を示す数字のひとつですが、企業価値と同一ではありません。時価総額は一時的な企業の持ち物価値を示すものではありますが、将来的な収益性を反映することも難しく、それだけでは企業の価値を表すことは難しいでしょう。ただし、自己資本比率が100%であれば、時価総額は企業価値と同額になります。
事業価値との違い
事業価値とは、企業が行う事業から生み出される価値のことです。例えば企業の収益力を示すのれんや知的財産なども事業価値と考えることができます。
一方、企業価値は事業が生み出す価値だけを指すわけではありません。保有する資産から生み出される価値など企業の価値を構成しているので、企業価値は事業価値よりも広範囲のものを含みます。
株主価値との違い
株主価値とは、企業価値から他人資本のものを除いた価値を指します。例えば有利子負債は他人資本なので、株主価値には含めません。
企業価値を計算する3つの方法
企業価値の求め方は、ひとつに限定されていません。何に注目して価値を算出するのかによって、利用する方法が異なります。主に次の3つの方法を用いて算出し、複合的に判断することで客観的な企業価値を求めることが一般的です。
- インカムアプローチ
- コストアプローチ
- マーケットアプローチ
1.インカムアプローチ
インカムアプローチとは、将来得られるであろうキャッシュフローなどを基にして企業価値を計算する方法です。いくつか方法がありますが、その中でもしばしば用いられる手法が「DCF法」になります。将来得られるキャッシュフローから事業維持に必要なキャッシュフローを除いたフリーキャッシュフローを求め、所定の割引をして企業価値とするのです。
インカムアプローチを用いると、将来的な収益をベースとするため成長性を反映した企業価値を求めることが可能です。ただし、あくまでも予測に過ぎないため、主観が入りやすいというデメリットがあります。
2.コストアプローチ
コストアプローチとは、資産から負債を除いた純資産により株式価値を求め、負債価値を加えて企業価値を求める方法です。例えばコストアプローチのひとつ「時価純資産価額法」では、純資産の時価と負債の時価を求め、それらを加えて企業価値を求めます。
貸借対照表の数値を活用して算出できる部分が多いため、計算が比較的容易であるという点がメリットです。しかし、のれんや知的財産などの貸借対照表の数字としては表せないものの価値は含まれていないというデメリットがあります。
3.マーケットアプローチ
マーケットアプローチとは、業界や規模、ビジネスモデルなどが類似する企業を選び、その企業の価値から対象企業の価値を算出する方法です。例えば非上場企業などの時価総額を計算することが難しい企業の価値を求める際に、用いられることがあります。
すでに算出されている企業価値を用いて対象企業の価値を表示するので、計算が簡単だという点がメリットです。しかし、類似した企業を見つけることが難しいため、企業価値を求める方法として用いられない可能性もあるでしょう。
企業価値を高める4つの方法
企業価値を高めることにより、有利な条件で事業売却を行えるようになります。企業価値とはすなわち企業を売却したときの価格を意味するので、受け取れる金額が増えるでしょう。
また金融機関から融資を受けるときも、企業価値は高いほうが有利です。金融機関は融資を行う際に対象企業の企業価値を算出し融資額や適用金利を決めることがあるため、企業価値が高いと好条件で融資を受けられる可能性が高まります。
金融機関から融資を受けやすくなると、倒産を回避しやすくなるというメリットもあるでしょう。万が一のときにも高額融資を受けられるため、倒産せずに済むことがあります。
企業価値を高める方法としては、次の4つが一般的です。
- 収益率を高める
- 財務状況を改善する
- 業務効率を向上する
- 固定資産と無形資産を有効活用する
それぞれについて詳しく解説します。
1.収益率を高める
高収益を得ていても、利益を得るためのコストが多いのでは手元に残る利益は少なくなってしまいます。収益率を高めることで手元に残る利益を増やし、企業価値を高めていきましょう。
例えば手広く事業を手掛けることで収益性が低くなっている場合は、高収益率の事業だけ残して絞り込み、規模を拡大して全体の収益率を高めることも検討できます。
2.財務状況を改善する
事業によって得られる利益の効率が上がっても財務状況に問題がある場合は、企業全体の価値は低くなってしまいます。例えば資産が潤沢にあるにも関わらず金融機関から融資を受けているのであれば、無駄な利息が発生していると考えられるでしょう。財務状況も一つひとつ見直し、無駄な利息がないか、非効率な経営になっていないか確認してください。
3.業務効率を向上する
無駄なコストや手順がないか、すべての業務や経費を洗い出しましょう。利益に比べてコストがかかりすぎる業務に関しては、アウトソーシングサービスなども利用し徹底的に効率化を図ります。
また、残業が多く人件費が高くなっている場合には、業務時間内にタスクを終えられるように業務フローを見直すこともできるでしょう。
4.固定資産と無形資産を有効活用する
不動産や設備などの固定資産が有効に活用されているのか、チェックしてみましょう。活用できていないときは固定資産税が発生するだけで、収益率を下げる原因になっている可能性があります。
今まで獲得してきたノウハウや従業員のスキル、知的財産などの無形資産も有効活用されているのか確認してみましょう。例えば特許を取得したものの放置しているビジネスモデルや製品、技術などがあれば、活用して新たな利益につなげていけるかもしれません。
また、人材も大切な資産です。従業員が高いモチベーションを持って業務を行うことで収益率を高め、企業価値を上げる効果も期待できます。従業員が心地良く働けるように労働環境や報酬制度、ストレスケアなどを見直すことも必要といえるでしょう。
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また、有利な条件で事業譲渡などを進めていくためにも、企業価値を上げることは不可欠です。ご紹介した方法をぜひ参考にしてください。