【M&A事例】日本を代表するフラワーアーティスト集団「Massa&Artists」創業者 Massa / 中川聖久氏 インタビュー

独創的なスタイルと日本的な感性を融合させたフラワーデザインを提供する株式会社Massa&Artists。 2024年の春、株式会社ユー花園へ全株式を売却、グループの傘下に入ることを決断されました。創業からの想いとともにM&A決断の背景にあるものを、Massaこと中川 聖久氏に伺いました。 また今回は、株式会社Massa&Artistsの新代表取締役となられた株式会社ユー花園取締役副社長である田中あゆみ氏にも譲受側からの目線でのインタビューも実施しています。

▼本記事はこちらのインタビュー動画を書き起こしたものです。

 

▶︎株式会社Massa&Artists Massaこと中川聖久氏

ーMassa&Artistsについて

株式会社にしたのが15年前、今15年目ですかね。会社自体は。

今は一番大きいのが、パレスホテル東京でのウエディングだったりとかイベント、それが中心ですね。

そこに加えて、ブランドのイベントであったりとか、時にはミュージシャンのライブの仕事があったりとか、撮影がもろもろとある感じですね、今は。

 

ーMassa氏の仕事の姿勢とは?

花のことは花に聞いて。花のことは花に聞け。

それね、中川幸雄さんという、僕が尊敬するお花の人の言葉なのですけれど。結局、自分の胸に聞いてみろという話なのかな、花と対峙しながら。

よく言うのは、「花に頼るな」という話をよくします。花の前にはいける。花の前には「いける」がなくてはいけない。

うちには4つの「いける」っていうのがあって。花をいけるって、普通だったら生命の「生」で、送り仮名「ける」で「生ける」。あと生活の「活」、活力の「活」で「活ける」。うちにはもうあと2つあって、創造するの「創造」、創造って漢字で書いて、送り仮名を「る」ってつけて、これも「創造(いけ)る」。「変化」って書いて、「る」って送り仮名つけて、これも「変化(いけ)る」。いかに生命の「生」、活力の「活」、「創造」、「変化」、そうやって「いける」かというのがあって。

花があって、花が生けられるのは幸せだと思います。

花がなかったらどうするの?って話。

花がなかったら、代わるものを何かしら見つけて、それで表現するのだろう。例えば今、ここ花がないですよね。そしたら、砂で大地を作って、何か花の代わりに、流木を何かに見立てて、添えて、それが例えば岩周りとかで表現していく。

だから、花の前に「いける」がなくてはいけない。

じゃあ、いい花があったらいい風に生けられるかといったら違うと思うし、いい花器があったらいい花が生けられるかというと、それも違うと思う。「心」という気がします。

 

ーMassa&Artists 創業のきっかけは?

僕が最初「ゴトウ花店」という六本木にある老舗のお店にいて。うち15年強、帝国ホテルでデザイナーとしてやってたんだけど。簡単に言うと、結局俺って、みんなが「Massa、Massa」っていうのは、帝国ホテルのトップだったりとか、ゴトウのトップデザイナーやってたから、みんな「Massa、Massa」というだけで、その肩書き外しちゃったらどうなんだよ?ってと思って。よし、じゃあ一人になろうと思って、一人になったのが(創業の)動機ですね。

一人になっても、周りのクライアントはついてきてくれるのか。そこを知りたかった。

最初、やっぱり一人で始めたので、会社経営なんかしたことないから、独立したこともこれが初めてで、不安はありましたよね。何が一番不安かって、自分が給料出ないのはもうこれはしょうがない。でも、例えば人を雇った時に、ちゃんと給料が払えるんだろうか、俺は、っていうところが一番気になっていたところですね。

最初、アルバイトのお手伝いの子が来てくれたりなんかして。最初1年ぐらい大変でしたね、という記憶はありますね。

 

ー経営者として苦労したことは?

僕が感じるには、やはり会社経営、何が大変って「人」と「お金」。これが大変だと思います。

入ってきて、人が辞めていくというのは繰り返しで、ずっと続いているんですよ。だから特にというか、ずっと続いていることという感じで。

やはりコロナですかね、大変だったのは。
僕の商売って、お花屋さんをやっているわけじゃないので、イベントがなくなると仕事がない。ホテルがシャッターを下ろしちゃうと仕事がない。

ちょうどあの頃、新入社員が7〜8人入ってきたと記憶していますけど、要は入った瞬間来なくていいよ、みたいな話じゃないですか。家に待機みたいな、でも給料は払う。

幹部の人たちがオンラインで授業というか、講義、講習というのはやってくれたのですけど。現場って本当に入ると大変だよ、なんていうことも、頭ではその子達も勉強したんだろうけど、実際、本当にコロナが終わって、現場が動き出すとやっぱり大変なんですよね。で、すぐ辞めちゃう。

ハッキリ言って1人も残らなかったですよ。そういうことの繰り返しといえば繰り返しなんだけど、あの頃が一番大変でしたね。

 

ーM&A(資本提携)を考えはじめたのは?

創業の頃に感じていた財務、金。事業を始めた頃は、アルバイトにお金払えるのかなとか心配したのが、もうちょっと今、だいぶ大きくはなってるのだけど。

コロナみたいなのを経験すると、どんなことがこれから先、世の中起きるか分からないなと。

そうした時に、うちの会社は立っていられるのかっていうと、100%の自信がない。そんな時に従業員どうするの?って話で、そこを一番最初に考えるところですよね。

そうすると、考え方って2つしかないなと思って。他にもあるのかもしれないけど。「廃業」するか、「資本提携」するか。二つに一つなのかなというのは思っていました。

 

ー事情承継通信社について

ここ今、(神奈川県の)葉山なんだけど。隣に逗子っていう、みんなが知らない秘密の美しい場所があって。

そこに、ジャック(事業承継通信社 代表 若村雄介のニックネーム)っていう、知り合いの伝手で知り合った仲間がいて。彼に相談したのが始まり、事の始まりのきっかけですね。今回の資本提携っていうことに関しては、随分話しましたね、いろいろと、彼とは。

「廃業、ないよ、Massaさん」っていう話から始まって。

方法っていうのはね、僕こういうの得意じゃないので、ジャックのアドバイスに従って、ずっと進んできたというのがそういうことなのだけど。ひたすら信じてやってきたっていうことですね。

 

ーユー花園グループの印象は?

すごくいい印象でしたね。今後、一緒になれるといいなって思いましたね。安心しました、何か、はい。

特にあゆみさん、今のMassa&Artistsの(新)社長。非常に明るくて。やはり人って合う合わないあるから。そこは大丈夫だったので、そこは最高でしたね。

 

▶︎株式会社ユー花園取締役副社長 田中あゆみ氏

ーユー花園について

ユー花園の方は副社長というポジションで勤めていて、Massa&Artistsの方は一応、代表ということで。

ユー花園は創業62年にこの8月でなります。元々は小売のお店、お花屋さんからスタートしまして。葬儀の花飾りに入っていって、そして婚礼。また婚礼の後は、一般企業様へのお花のご提供という、そういった成長を遂げてきた会社になります。

 

ーMassa&Artistsのイメージは?

ハイブランドのイベントを多く手掛けてらっしゃる会社であることと、すごくデザイナー色が強い。Massaさん筆頭に、やはりクリエイティブの力が強い会社で、非常に尖っているというか、個性があるキレキレの会社っていうイメージがありました。

 

ーグループ入りで期待する効果は?

一番の期待は、やはりクリエイティブの刺激というのですか。異なるものが入ってくることで、新しいものが生まれていくっていうところは一番期待してるところです。

すごく良いタイミングで、両者にとって素晴らしい出会いだったんじゃないかなと、今すごく思っていて。お互いがお互いから学べること、そして切磋琢磨して、一緒に高みを目指していける。お互いに無いものを持っているし、お互いに前に進みたいと思っている。

どっちかがどっちかの手を引っ張っていって、前に進めていける感じがしているので、そこはいい仲間が増えて良かったなと思っています。とても楽しみです。

 

▶︎株式会社Massa&Artists Massaこと中川聖久氏

ー株式譲渡の最終契約が締結できた今の心境は?

もう安心しましたね。でもやはりいろいろな意味で、だから無事契約できてよかったなと思いました。本当にホッとしました。

社員のことも含めて諸々、やっとモヤモヤしていたものがスッと、無事終わって良かったっていう。でもこれからまた新しいことが始まるな、と思いましたね。

 

ー経営の(人とお金)の部分は下ろされて、それ以外は今まで通り?

そうですね、理想に近づいたという感じです。

本来やりたいところ、やはりデザインに集中したいですよ。大谷翔平くんだってそうじゃないですか。野球に集中したい、みたいね。気持ちは分かるなって気がします。そこでお金のこといらないよってね。

 

ーアーティスト兼経営者の方へ一言

もし今やられてるクリエイティブの仕事に専念できるのであれば、その環境を作った方がいいですね。絶対それはそう思いますね。お金の心配しない。

だから、信頼できる相手を、パートナーっていうんですかね、そういうのを是非見つけられると良いんじゃないですかね。だいぶ楽になると思います。少なくとも、僕はそうです。

 


インタビュー・執筆:株式会社事業承継通信社

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