【M&A事例】ミュージカルカフェOffza 譲渡ストーリー(前編)事業譲渡側の視点|株式会社FIRST AIRLINES 代表 阿部宏晃様インタビュー

東京都豊島区。ミュージカル俳優がキャストとして歌って踊り、接客をすることで、誰でもミュージカルを気軽に体感できるミュージカルcafe & diner Offza(http://offza.jp/)。
このユニークなお店は、2019年にFIRST AIRLINES社によって企画・設立され、2021年3月、株式会社コアエレメンツに事業譲渡されました。事業譲渡に至るまでの、 FIRST AIRLINES社オーナー阿部様の葛藤や決断の背景、そして譲受け側としてコアエレメンツ代表丸上様には名乗りを挙げた理由と、今後の抱負をうかがいました。
(「後編/事業譲受側の視点インタビュー」はこちらです)

ミュージカルを手軽に楽しんでもらいたい

ーまずは創業の経緯を教えてください。

阿部様:
当社が元々展開していたファーストエアラインズ(https://firstairlines.jp/)という施設があります。地上にいながら、航空・世界旅行の体験を味わうことができる「世界初のヴァーチャルリアリティ航空施設」を池袋で運営していますが、更なる新しい可能性のある事業を探っていました。

そんな時に、初めてミュージカルを見たのですが、その世界観に感動しました。魂を揺さぶられたというか、衝撃を受けたのです。私はそれまで見たことがなかったのです。こんな素晴らしい世界をもっともっと皆が見られるように、ハードルを下げるようなことができたらいいなと、劇場をつくれないかと漠然と思いました。

企業に声をかけて、企画としてコンテンツを作りイベントを仕掛けたりはしました。ただやはり常設で発展性がある形にしたいなと。でも、劇場だと資本力的にさすがに難しい。あきらめかけた頃、ブロードウェイにある “Ellen’s Stardust Diner” の存在を知ったのです。動画を見てこれだ!と思いました。若手のスターの卵がここで歌い踊り、ブロードウェイのスターが生まれていくストーリー性。カフェスタイルでお客様も気軽に来れる。Hareza池袋ができたり、沢山の劇場がある池袋はある意味ブロードウェイに似ている。よしやろう!と動き始めたのです。

 

ーそこからどう動いたのですか?

阿部様:
まずは物件を探し始めました。 約三ヶ月間でここが見つかりました。60坪以上あるワンフロア。当時はスケルトン。新しいビルでした。池袋にも近いし、新しいビル。ビルオーナーは町会長で、街を盛り上げたいと考えていらっしゃって、協力的でここに決めました。

また同時並行で、ミュージカル俳優として活躍しつつ、自主企画を精力的に仕掛けられる 福永悠二 さん に一緒にやりませんかと声をかけました。快諾いただき、福永さんをプロデューサーとして招聘し、プロジェクトは動き始めたのです。

offzaは100名以上収容可能。テーブル、椅子スタイルで約70名が座れる広々としたフロア

業務と資金繰りに苦労

ーオープンまでは色々苦労はあったのでしょうか。

阿部様:
とにかく大変でした。メイン事業のファーストエアラインズも回しつつだったので、業務工数も大変でしたが、資金面もですね。正直背伸びしすぎました。これだけの広さの内装、音響照明などの設備、キッチンなど設備を揃えていくのは本当に大変でしたね(笑)。

でもなんとかかんとか進め、2019年12月、ようやくプレオープンイベントができました。クリスマス時期と重なったこともあり、連日満席でした。普段でしたら、関われないような俳優さんも沢山来られていて苦労が報われた気がしましたね。

 

ーそして年が明けてからは?

阿部様:
2020年1月に正式オープンしました。ただし、そのまま2、3月くらいまでは資金繰り、業務に追われ大変だったという思い出しかありませんね(笑)。 そして、そのままコロナ禍になり、4月に休業に入ることになりました。この期間は、本当に多くの方々に助けられました。不動産ビルオーナーさんが一定期間家賃を減額してくださったり、椎名町界隈の方々が募金などで応援してくれたり。今でも感謝しています。

立ち上げ初期の大変さに4月以降の新型コロナのショックが加わり、この先どうしたらいいだろうか、という悩みが押し寄せてきていました。そして、もしうまくやってくれる方が現れ、ここの運営を引き継いでくれるのであれば、やってもらいたい、という気持ちが芽生えてきたのです。

ミュージカルカフェとして営業するOffza自慢の広々とした高品質なキッチン

決めては、スピード、想いそしてコンテンツ

ーそこから事業承継通信社に相談したのですね。

阿部様:
はい、知人を介して紹介いただき、相談に乗ってもらったのです。 当初、期限を設けず、承継候補の方が現れたら面会をさせてもらう感じでしたが、コロナ禍の中飲食店ビジネスということでなかなか承継候補先が現れません。12月中旬を過ぎてから、事業承継通信社からの提案で改めて当事業の譲渡方針、時期、条件を見直しまして、スピード優先での譲渡先探しをはじめたのです。

 

ー複数の候補の中でコアエレメンツ様に決めた理由は?

阿部様:
スピード、想い、そして新しいコンテンツへの期待です。丸上代表は神戸にいたにも関わらず、すぐ東京に視察と面会に来てくれました。 またご自身達がアーティストでもあることで、ミュージカル俳優を目指すキャスト達への共感と応援する気持ちがとにかく強い。そして新しいコンテンツも生み出してくれそうな期待感はこのOffza冥利につきるのではないだろうかと。

FIRST AIRLINES社の代表であり、offzaの創業者である阿部様

事業が存続していく喜び

ー改めて、今思うことはなんでしょうか。

阿部様:
まずはほっとしています。お話がまとまってよかったと思っています。自分が生み出した、けれど手をかけ育てられなかった事業が存続していく喜びを噛みしめています。今後のOffzaが楽しみです。いつか、自分が創業者だ、と自慢できるよう、ここの発展をサポーターとして見守っていきたいです。

▼「後編」はコチラ▼

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