【M&A事例】北海道苫小牧で50年続く弁当製造販売「甚べい」社長 今田正義氏 インタビュー

北海道苫小牧市で50年続く弁当製造販売「甚べい」が、ラーメン「麺や虎鉄」18店などを展開する「PLUS2(プラスツー)」(札幌)に全株式を譲渡し事業承継を実行。 後継者不在で悩みながら第三者承継を実施した「甚べい」3代目今田(こんた)社長に、事業の歴史や事業承継プロセスについてお話を伺いました。

▼本記事はこちらのインタビュー動画を書き起こしたものです。

ー会社としては創業何年になりますか。

ちょうど50年。

苫小牧で長年やってて、かなり他の弁当屋さんよりちょっとレベルの高いお弁当を出してるんだよね。最初から新潟のコシヒカリを使ってやってきてて。北海道の米がまずかった時からずっと、甚べいのご飯は美味しいって言われてね。

それでここまでお客さんに、地元の人に受け入れられてきたんで。そういったところを一番大事にしたいという部分があってね。だからそれを今も継続してるんです。

あと毎日自分が試食するんですよ。試食することによって、自分の健康を害しない。本当にそうやって健康にも良い、そういったものを市民のお客さんに提供していくっていう、それが一番の大きな使命かなと僕は思ってやっています。

ー入社から社長就任までのお話をお聞かせください。

アルバイトを募集してたの、甚べいが。それに応募して、そしてすぐ採用になって。52年の2月に社員として甚べいに入ったの。

それから、創業社長が昭和60年につくば万博に出店したんです。それですごい赤字を出して、それで辞めるということになってね。

その先代の社長が、札幌でおじさんに当たる人なんだけど、おふくろ食品というのをやってて、そこで勉強して苫小牧で弁当屋をやった経緯があって。それで、その前の社長に甚べいを引き継いでくれという風なことで引き継いでもらって、その社長に10年間やってもらったんですよ。それでちょうど10年経ったら、「もう俺やめる」って言われて。その時にいきなり匙投げられて。「じゃあ、お前社長やれ」って言われて。それで、やらざるをえなくなったっていう経緯ですよね。

 

ー社長になると同時に株式はどうされたんですか?

その時に創業社長の弟も一緒にいたんですよ。彼が常務でいたから、彼にも1株だけもらってね、あと全部自分が引継いだっていう。

 

ー経営者として苦労したことは?

10年ぐらい経った頃にリーマンショックっていうのがあって。あれでもう人生ガラっと変わった。

室蘭の店が売上半分になってね。それまでやっぱり出店出店でイケイケどんどんだったから、それがもうリーマンショックで全部叩き壊されて。そうしたらいきなりコロナでしょ。で、またどん底かよってね。笑

だから本当その辺の中では、自分で20何年の社長経験の中では、本当後半の15年ぐらいはね、もう悲惨だよね。

 

ー事業承継を考え始めたのはいつ頃からですか?

僕の右腕でやっていた人がね、僕と同じ年なんだけど、ちょうど70歳で退社したんです。

彼女がほとんどメニュー作ってたから。そういったメニュー開発ってのは彼女が全部やってくれてたんで、ものすごい良かったんです。次々とこう新しいものを出しながら、売れなかったら引っ込めてっていうね。それをやりながらずっとやってたんだけど、彼女がいなくなっつたらポッツリなくなって。それで社内でそういうグループ作ってやったんだけど、なかなかうまくいかなくてね。

あ、これはもうそろそろ考えなゃだめだなっていう時ですよね。

これもやりたい、これもやりたいって言っても、この俺の年で、じゃあこれ続けられるの?っていうね。失敗するのが当たり前の世界だから、裏を返せば成功するまでしなくちゃいけないんですよ、やった以上はね。

だから本当にそこまで自分で続けられるのかなっていうのがね、非常に不安だった。

 

ー事業承継通信社についての印象をお聞かせください。

一応最初ね、いろんなところとコンタクトを取ってやったんです。そうすると1番先にもう2000万円(最低報酬額)とかもういきなり言われるんですよ。うちのこの規模で2000万を取ったら、こっちに何もないじゃん!みたいなね。

そしたらたまたまね、中小企業に特化した事業承継やってるとこあるよっていう紹介があって、そしてたどり着いたっていうかね。

1ヶ月に1回必ず話をしてくれた、それがやっぱり一番大きいよね。毎月1回やってくれるっていうところでね、やっぱりああ良かったなと思ってますよ。

 

ー事業承継先の「PLUS2」の印象をお聞かせください。

1番は、事業承継通信社の紹介でここが1番良いとね、だから信用した人がそうやって言ってくれるわけだから、もうそれを信用するしかない。

それで実際話したら、やっぱりそういった点で自分が要求するビジョンとかそういったところを理解してくれてたんで。ましてやうちの歴史っていうものを理解しながら。

そういったことを考えてくれるっていうのはなかなかないと思うんだ。だからそういった点では、もう本当に良かったなと思ってます。

 

ー株式譲渡最終契約が無事に締結ができていかがですか?

いやまだね、全然実感としては湧かないんだけど。これで少しは今までの肩の荷が少しは降りてくるのかなっていうところだね。まだ実感的にはほとんどないですね。これが実感少し出てくるのは、まあ1ヶ月ぐらい経つんじゃない?笑

 

ーご家族の反応はどうしたか?

うちのやつはもう最初から早く辞めろ早く辞めろって言ってるから、えらい喜んでますよ。笑

 

ー後継者不在の経営者の方へ一言お願いします。

たまたま僕の場合はそうやって何件かアタックして、そしてたまたま見つかったっていう感じであって。

特にうちみたいに息子がいるわけでない、後継者がいるわけでないっていう部分の中では、最初からどちらかというとそっちの方(第三者事業承継=M&A)しかないなと思ってたからね。

だからそこに一歩足踏め入れるか、入れないか、その社長の次第だと僕は思うんです。

 


インタビュー・執筆:株式会社事業承継通信社

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