【後編】マンション買うのとM&Aは一緒! 「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」著者・三戸政和が語るM&Aの正体。
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とはいえ、売るのは難しいと悩む経営者へ
ー売ろう!と動き出しても、動けなくなる人も多いのではないでしょうか?
むしろ、KPIをぐるぐる回したほうがいい気がするんです。もちろん「とはいえ・・・」という心理って絶対にあると思います。
「やっぱりコミュニティがあるし」
「せっかく頑張ったし」
など、色々出てきますよね。で、みんな「うーん」って思ってしまうんですよね。
そこにこだわらず、さくっと売ってしまい、次にもっとやれる人がどんどんやって行くほうがパワフルです。このサイクルに関わるスピードや数といったKPIを上げていったほうが、全体のパイが大きくなるのでは?と私は思っています。
ー他にも、売ることで得られるものはありますか?
どうしてもベンチャーなどでは、経営している中でのスケジュールや、事業計画上の仮想数値で頭がいっぱいになっていきます。そこに意識が行き過ぎて、自社のリアルな価値を曖昧に認識しているケースって多いんです。
意外と無自覚な経営者は多く、自分のイメージでこの辺にいるはずだと思っています。ですが、M&Aをして一回キャッシュ化してみると、自分の実力値がまざまざと数値化されますし、得るものが色々あるはずです。
ー従業員との関係性など気にされる経営者も多いと思います。
従業員に愛着があることは否定しませんが、、、 社長が思ってるほど、従業員は社長にいて欲しいとは思ってないんですよね。笑
M&Aをした時に従業員や取引先からすがられるかどうか、一度見てみるのは人生の良い経験だと思います。
ご自身が退いた瞬間にそのビジネスが淘汰されるのを心配される方も多いですが、 ほとんどそんなことはありません。
一生に一つしか会社を経営してはいけないという法律もありませんし、どんどんM&Aを検討してみてほしいですね。
ー売る時の心構えを改めて教えてください。
ファンドが何故ある程度のポジションを取れるかというと、彼らは買い慣れているので、途中でそうそうハシゴを外さないだろうなって信じてもらえるんです。
売り手もをハシゴ外しそうなところに、売値など詳細情報を出したくはないですよね。
本当に買ってくれる人間性を持っているかは一番大事なところですね。
M&Aはお互いに時間もコストもかけてやっていくこと。そのため、基本合意的な段階まで入ってきたら、お互いに多少の交渉はあったとしても、やり切るという姿勢がマナーですね。
また、ハシゴを外したことで 、のちのち想定外のリスクも背負うこともあります。
きちんとした買い手は、事前準備として過去の会社を売る作業に関する内容は必ず確認しています。
そうなると、一年前に売ろうとしたもののブレイクしましたという情報があると、 信用は取りにくいですよね。 当然バリュエーションも出にくくなります。
ーありがとうございます、最後に一言お願いします。
M&Aやってます、というとかっこよく聞こえるじゃないですか。でも、M&Aをやっているのは、不動産の仲介と変わりません。
売り手の方も、買い手の方もM&Aを通して得るものは大きいと思いますので、大げさに考えず、どんどんチャレンジしていただければと思います。
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サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門
取材・インタビュアー:事業承継通信社/若村 雄介・柳 隆之