- 会社名
- 株式会社Verne(東京都)
- 事業内容
- キッチン用品を中心とした越境EC事業(主に米国・欧州向け)
- M&A検討理由
- 従業員と事業の将来のため/事業のさらなる成長に営業力・資金力が必要
- M&A実行後
- 事業を譲渡後、海外留学を視野に新たな挑戦へ
- 譲渡先
- VIGO MEDICAL株式会社
- 譲渡スキーム
- 株式譲渡
調理器具などのキッチン用品を日本から海外へ届ける越境EC事業で成長してきた株式会社Verne(ヴェルヌ)。重工メーカーを退職後、個人事業として始めたこの挑戦は、やがて法人化を経て軌道に乗り、独自ブランドの展開へと発展しました。創業者・竹山様が語る、成長の軌跡とM&Aという選択に至った経緯をご紹介します。
ものづくりへの想いから生まれた越境ECブランド
竹山様は大学卒業後、大手重工メーカーでプラント設計の業務に従事。充実した日々を過ごす一方で、「もっと小回りが利く環境で、自分の裁量で動きたい」という思いを強くし、3年で退職。個人事業として越境ECを開始しました。
「日本製で売れそうなもの」を選んで海外販売を始めた当初は、調理器具や工具など幅広い商品を扱っていましたが、やがてキッチン用品に特化したブランドを立ち上げ。「職人の技や、ものづくりの精神を感じる商品を届けたい」という想いが原点だったと語ります。
法人化と事業拡張。小さな会社の大きな挑戦
個人での運営から、法人化へと踏み出したのは創業から約2年後のこと。事務所を構え、従業員を雇用し、組織化を進めていきました。既存の越境EC事業に加え、オリジナル商品の開発・販売にも着手。海外製造の商品を国内向けに展開するなど、新たな試みにも取り組んできました。
しかし、順調な日々のなかにも苦難はありました。コロナ禍では航空便の激減により輸送コストが急騰。さらに、詐欺被害によって100万円以上の損失を被るなど、大きなリスクにも直面しました。
譲渡という選択肢。「自分にできることは、やり切った」
「資金力や営業力が求められる次のステージを、自分で描けなくなった」ー そう感じたことが、M&Aを意識し始めたきっかけでした。自社ブランドの可能性を信じつつも、自らの限界と向き合い、「従業員の未来を考えたとき、組織として力のある会社に任せるべきだ」と判断されたといいます。
譲渡先に選んだのはVIGO MEDICAL株式会社。事業への理解や従業員への配慮など、代表の人柄も含めて信頼できる相手だったと語ります。
第三者の力を借りることの意味
M&Aを検討する中で、不安を抱く場面も多くあったといいます。買手詐欺の報道や、個人保証の問題など、気になる点は一つずつ仲介会社に確認しながら前に進んできました。
「仲介会社に頼ることで、第三者視点で自社の価値を見直せた。本業をしながら譲渡プロセスを進めるには、やはりプロのサポートが必要だった」ー そう振り返る竹山様は、事業承継通信社の支援を受けたことが大きな力になったと語ります。
未来へ。創業者の新たな挑戦
譲渡後は、一定期間の引継ぎを行ったうえで、海外留学を予定しているという竹山様。今後も、日本と海外をつなぐ活動に関わりたいという想いは変わらず、そのための準備を進めているとのことです。
最後に、後継者不在や事業の壁に悩む経営者へ、次のような言葉を残しました。
「M&Aは、事業を前に進める手段になり得ます。もし悩んでいるなら、まずは相談してみること。そして、信頼できる仲介者を見つけること。それが一番大事だと思います」