- 会社名
- 有限会社大豆屋(神奈川県)
- 事業内容
- 豆腐および大豆加工品の製造・販売
- M&A検討理由
- 後継者不在のため/引退時期の見極め/店舗・事業資産の有効活用
- M&A実行後
- 事業を承継後、創業者は現役を引退
- 譲渡先
- 異業種の企業
- 譲渡スキーム
- 株式譲渡
神奈川県茅ヶ崎市で38年間にわたり、国産大豆にこだわった豆腐づくりを続けてきた「大豆屋」。1986年の創業以来、地元で愛される存在として歩んできた同社は、2024年、第三者への事業承継という決断を下しました。創業者・蓮見様が語る、創業への想いと事業譲渡に至るまでの軌跡をご紹介します。
安心・安全な国産原料にこだわった豆腐づくり
創業時から一貫して「国産100%」にこだわり続けてきた蓮見様。豆腐の主原料である大豆だけでなく、揚げ油には国産菜種油を使用し、凝固剤には伊豆大島の天然にがりを選ぶなど、徹底した品質主義を貫いてきました。
また、化学合成添加物を極力使わず、手作業による丁寧な製造を継続。地域の消費者に安心して食べてもらうための努力を重ねてきたと言います。
「大量生産はせず、手作りの良さを大事にしたい」ー 創業から変わらぬ信念が、大豆屋の信頼を支えてきました。
バブル期の創業と、試練の連続
1986年、バブル景気の真っ只中に創業。需要の追い風を受けて工場や土地も整備しましたが、時代の変化とともに経営環境は一変。平成5年の大冷害では大豆価格が高騰し、事業継続に強い危機感を抱いたといいます。
「大豆の価格が2倍近くになったときは、本当に厳しかった。値上げを理解してもらうのも大変だった」ー それでも蓮見様は顧客との信頼関係を支えに、困難を乗り越えてきました。
廃業か承継か、模索のなかで見えた選択肢
「子ども4人のうち、誰も継がない」ー この現実を受け止めながらも、蓮見様は事業の幕を閉じるかどうか、悩み続けていたといいます。
ローンの完済を機に引退も視野に入れる一方、「顧客もいるし、もったいない」との思いも。そんな折、M&Aを案内するメールやDMが届くようになり、第三者承継の可能性を初めて意識するようになったと語ります。
寄り添ってくれる仲介者との出会い
事業承継通信社との出会いは、「代表の人柄が信頼できた」ことが決め手だったとのこと。料金面も明朗で、丁寧に話を聞いてくれる姿勢に安心感を抱いたといいます。
「この人なら任せられると思えた」ー その直感が、承継への大きな一歩につながりました。
ほっとした気持ちと、新体制への期待
譲渡契約を結んだ今、「年齢的にも、これが最後のタイミングだった。本当にほっとしている」と蓮見様は振り返ります。
今後の課題としては、財務体制の立て直しと人材の確保が挙げられますが、「新しい体制でならきっと乗り越えられる」と期待を寄せています。
人生の次のステージへ。経営者としての役目を終えて
長年、日常のすべてを事業に捧げてきた蓮見様。これからはしばし休養を取り、できれば東南アジアをぶらりと旅したいと笑います。
そして、同じように後継者問題に悩む経営者へ、こう呼びかけます。
「悩んでいるだけでは始まりません。まずは相談してみること。良い仲介者に出会えれば、必ず道は開けます」
インタビュー動画はこちら
蓮見様ご本人が語る、創業から譲渡に至るまでの思いや背景について、動画でご覧いただけます。