- 会社名
- Cheer plus株式会社(東京都)
- 事業内容
- プリスクール一体型保育園の運営
- M&A検討理由
- 人材・マネジメント体制の限界を感じたため/事業を成長させるための選択として
- M&A実行後
- 創業者は次のステージで活躍中
- 譲渡先
- 上場企業
- 譲渡スキーム
- 株式譲渡
都内でプリスクール一体型保育園を運営していたCheer plus株式会社は、2019年に上場企業へ株式を譲渡し、第三者承継を実現。創業者の井上様は、事業を順調に成長させながらも、マネジメントの負荷と事業の未来に向き合い、「成長のための譲渡」という選択に至りました。起業から譲渡に至るまでの過程と、その後の心境を含めた一連のプロセスをご紹介します。
マネジメントの限界と葛藤の中で見つけた「園のための選択」
2015年にCheer plus株式会社を設立し、都内で保育園事業をスタート。自宅での教室運営から始まり、プリスクール、保育園、アフタースクールへと事業を拡大していきました。
独自の教育方針とカリキュラムづくりにも力を入れ、教育の質を高めてこられましたが、経営が軌道に乗り始めた2019年、譲渡という選択肢が現実味を帯びてきます。
「マネジメント1名体制では、従業員にとって良い環境を提供できているか自信が持てなくなった」ー 採用・教育・運営まで一手に担う日々の中で、「やりたいことが進められない」現実に直面し、「これは自分のためではなく、事業のための決断」として譲渡を考えるようになったといいます。
適切な譲渡先を求めて、自力で動き出す
譲渡を検討し始めた井上様は、まず「どんな会社なら園を任せられるか」という譲渡先の理想像を明確にしました。
知育、保育園運営、外国人雇用などに理解があり、資本力と信頼性を備えた企業を目指し、複数のM&A仲介会社に相談。加えて、自らのネットワークを活かして、以前から親交のあった大手英語保育園A社に直接交渉を開始しました。
交渉は順調に進みましたが、買収側が専門家チームで対応する一方で、井上様は一人。「提示条件が適切か」「譲渡後の運営体制はどうなるのか」といった不安が募っていきました。
事業承継通信社との出会いで、伴走のプロチームが誕生
そんな中、井上様は知人でもあった当社代表と再会。創業時からの経緯や現在の不安を丁寧に受け止めてもらい、「この人たちとなら進められる」と感じたといいます。
・プリスクール事業に実績のあるM&Aコンサルタントを加えたサポート体制
・現在進行中の交渉へのセカンドオピニオン提供
・万が一に備えた代替譲渡先のリストアップ
こうした条件のもと、井上様は正式に当社にプロジェクトを依頼。その後、交渉や条件調整はスムーズに進んでいきました。
譲渡成立と、その先に見えた安心と希望
A社との交渉は最終局面で破談となりましたが、プロジェクトチームが準備していた別の上場企業が関心を示し、すぐに新たな交渉へ移行。井上様は「心強い支えがあったからこそ、冷静に切り替えられた」と振り返ります。
そして、無事に譲渡契約が成立。契約書に捺印するその瞬間、「支えてくれた皆さんの顔が浮かび、自然と涙があふれた」といいます。「あの日、皆さんと食べたお昼ご飯の味は今でも忘れられません」と穏やかに語ってくださいました。
井上様の決断と柔軟な対応、そして各関係者との丁寧な対話の積み重ねにより、納得感のある事業譲渡が実現しました。