- 会社名
- ときわコンピュータサービス株式会社(茨城県)
- 事業内容
- ソフトウェア開発
- M&A検討理由
- 後継者不在のため/親族承継が困難だったため/第二の人生を模索するため
- M&A実行後
- 創業者は事業引き継ぎ後、現役を引退
- 譲渡先
- IT周辺企業
- 譲渡スキーム
- 株式譲渡
昭和60年に創業されたときわコンピュータサービス株式会社は、茨城を拠点にソフトウェア開発を続けてきた地域密着型の企業です。創業者である益子様は、80歳を迎えた節目に第三者への事業承継を実現されました。
長年にわたる経営の背景には、理想の人材育成への思いと、親族内承継を巡る葛藤、そして信頼できる譲渡先との出会いがありました。益子様の歩みを振り返りながら、事業承継を成功に導いたプロセスをご紹介します。
理想のエンジニアを育てる ー 創業の原点にあった想い
益子様は、大手メーカーで20年以上エンジニアとして勤務されていましたが、「地元で好きな仕事を続けたい」という思いから、45歳で独立を決意。一人で会社を立ち上げ、「自ら考えて実現できるエンジニアを育てたい」という信念のもと、人材育成に取り組まれてきました。
ソフトウェア業界は技術革新が著しく、使用するプログラミング言語や制度の変更など、常に変化への対応が求められました。変化についていけず退職する人もいた一方で、成長を重ねる社員の姿は大きな励みだったそうです。
親族への承継は困難に。模索の末に仲介会社へ相談
事業承継を考え始めたのは75歳を過ぎた頃。周囲の同世代経営者が突然病に倒れる姿を見て、「後継者が不在のままでは従業員にもお客様にも迷惑をかけてしまう」との思いが強くなったといいます。
まずはご子息への承継を試みたものの、「開発と経営の両立は難しい」と、ご本人の意向により断念。
その後は、自治体の紹介制度を利用して事業を引き継げる人材を探されましたが、地方という地域特性もあって候補者の数自体が限られ、理想に近い方とはなかなか巡り合えなかったといいます。
「地元で探すのは難しいかもしれない」ー そう感じ始めた頃から、民間の仲介会社の活用も視野に入れ、いくつかの会社を比較検討されました。その中で、手数料体系が明瞭で、過度な費用負担がないという点にも信頼を感じていただき、最終的に当社へご相談いただくこととなりました。
譲渡先を決めたのは、判断軸と相性のよさ
複数の譲渡候補企業と面談を重ねた結果、最終的に現在の譲渡先企業を選ぶことに決めました。決断の決め手は、「大局的な判断ができる人物かどうか」だったといいます。「細かな点にばかり目がいってしまうと、全体が崩れてしまう。システム構築でも同じです」と益子様は語られます。
さらに「山や柔道、野球など、趣味の相性が良かったことも大きかったです」と笑顔を見せてくださいました。
事業の行方を見守りながら、自分の時間を楽しむ
無事に事業を承継された現在は、「相撲を観に国技館へ行ったり、甲子園で野球観戦を楽しんだりしたい」ー 長年忙しく過ごしてこられた分、これからは趣味の時間をゆっくり楽しみたいと語られます。
「譲渡した事業の今後を楽しみにしながら、自分の人生も大いに楽しもうと思っています」と、穏やかな笑顔で語る益子様の姿が印象的でした。